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島挙げてムシャーマ 4年ぶりに通常開催

ミルクを先頭に会場へと向かう、西組のミチサネ=29日、波照間集落内

ミルクを先頭に会場へと向かう、西組のミチサネ=29日、波照間集落内

波照間、旧盆中日に先祖供養

 【波照間】先祖供養や住民の無病息災、豊作・豊漁を祈願する「ムシャーマ」が旧盆中日の29日(旧暦7月14日)、島を挙げて盛大に行われた。新型コロナウイルスの影響で神事のみの開催が続いていたが、今年は4年ぶりにミチサネ(仮装行列)と舞台での奉納芸能も実施。ボー(棒)やテーク(太鼓)、舞踊やニンブチャー(念仏踊り)など多様な芸能を演じ、島民総出で島最大の伝統行事を盛り上げた。

 午前9時15分頃、波照間公民館で銅鑼が打ち鳴らされると、東、前、西組の順にミチサネがスタート。ミルクを先頭に各集落を出発し、マミドーマ、精米作業を表す稲摺り(イニシリ)、豊漁を意味する魚釣りなどが列をなして集落内を練り歩いた。

 公民館前の庭ではボー(棒)とテーク(太鼓)の演武が順に行われ、午前の部の最後には祖先に感謝し供養するニンブチャー(念仏踊り)が盛大に繰り広げられた。

 午後からは、公民館広場に設けられた舞台で各組が舞踊や狂言などを演じた。東組、西組が一番コンギを演じ、滑稽な動きや表現に会場からは拍手が沸いた。

 最後には、シーシン棒によって各組の獅子舞計6頭がおびき寄せられ、公民館前の庭に登場。悪霊払いにかまれた幼児が大声で泣きだす様子もあった。

 仲底善章公民館長は「台風でどうなるかと思ったけれど、4年ぶりに開催できて涙が出るほどうれしい。部落みんなで楽しめて、忘れていたものがよみがえり、また次のエネルギーにつながった」と感極まる思いを語った。

 前泊正人町長は「地域の皆さんの笑顔と活力が何よりも印象的。伝統行事を継承発展し、支えてこられたご苦労に敬意とお礼を申し上げる。波照間島のさらなる魅力を発信し、守り育ててください」とあいさつ。

 石垣在波照間郷友会の金嶺一彦会長は「強制疎開で多くの人が亡くなった事実を後世に伝え、平和の大切さを伝えていくことも私たちの責務。上村の公民館のおかげで活動できるので、今後もご支援をよろしくお願いします」と述べた。

 地謡で参加した本比田一朗さん(15)と西波照間凛さん(同)は「3年間お供えだけだったので、ニンブチャーとかができて懐かしく感じた。お盆という実感が沸いた」と喜び、「ずっと昔から続いてきた芸能を絶やすことなく続けていきたい」と語った。

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