地域の方言で21話収録 「平得の民話」石垣市教委発刊
石垣市教育委員会(﨑山晃教育長)は12日、市史研究資料の10冊目となる「平得の民話」(105㌻)を発刊したと発表した。石垣島の村々に伝わる民話と方言を後世に伝え残そうと2012年から刊行している民話シリーズの4地区目。明治・大正生まれの古老による方言語りの21話が収録されており、﨑山教育長は「当時の空気感が伝わる生き生きとした語り。地域の歴史と文化を知り、郷土への愛着が育まれていくことを願う」と期待した。13日から市内の書店などで800円で販売される。
民話シリーズは大浜(2冊)、白保(2冊)、真栄里(1冊)に平得も加わった。上段に話者による方言、下段に訳を掲載し、方言の説明や民話の解説も付けている。次は「川平の民話」の刊行に取り組む。その後、四か字(登野城、大川、石垣、新川)や宮良を予定している。
発刊記者発表が市役所で行われ、市史編集委員会の波照間永吉委員長は「地域の成り立ちや生活がよく伝わる民話集となっており、平得の特徴や他地域との交流もよく分かる。地域の文化を学べる格好のテキスト。声に出して読んでもらいたい」、市史民話小委員会の山里純一委員長は「方言で民話を語る機会が少なくなっている。話者が生き生きと語る民話は表現が豊かで味わい深い。手にとって活用してもらいたい」とそれぞれ呼びかけた。
民話は、1975年ごろと94年ごろに収録された音声データを文字化して編集したもの。音声の聞き取りや方言の意味・特徴の解説などに協力した専門委員の東宇里永清さん(83)は平得の方言であいさつし、「民話は大先輩が残した話が元になっている。平得村のいろんな話が載っているので子や孫に伝えていきたい」と語り、「今後は石垣島に残る民話も刊行し、最後はすべての村々の民話の歴史をまとめてほしい」と要望した。
平得の民話は400部発行。民話のほか「総説(平得村の概説、平得の民話の分類と特徴)」「語句の区切りについて」「平得方言の特徴」「話者一覧」も付いている。市内書店のほかインターネット「南山舎島のもの屋」で販売している。市内小中高校や県内図書館には寄贈する。
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