訪問税で審議委発足 竹富町
- 2023年09月08日
- 政治・行政
竹富町は7日、町内来訪者に課税する訪問税(仮称)の導入に向け、審議委員会(委員長・青木宗明神奈川大学経営学部教授)を立ち上げた。同日午前に町役場委員会室で第1回審議委員会が開かれ、制度の基本的枠組みや徴収方法、税率、導入に向けた今後の流れを確認した。同会は年度内に3回審議会を開き、来年3月の条例化、次年度以降早期の導入を目指す。
町は2007年に入域料を検討する委員会を設置、19年には環境省主体で西表石垣国立公園(西表地区)利用者負担による保全の仕組みに関する勉強会を行うなど長年、法定外目的税での徴収を模索してきた。21年からは「宮島訪問税条例」を事例に法定外普通税とする検討を開始。役場内での連絡会議や昨年実施した検討会での議論をふまえ、今回制度化に向けた審議委員会を発足した。
訪問税は▽来訪者対象▽法定外普通税▽町の全島(有人島)対象―の3点を基本方針とする。町民や町役場職員は課税対象としないほか、町内事業所に通勤する者、学校や保育施設に通う児童生徒、乳幼児なども対象外。回数券の利用者や郷友会、町民の家族、帰郷のために来訪する者などの取り扱いは今後関係者の意見もふまえて協議する。
徴収方法はコスト、徴収漏れのリスクなどを鑑み、旅客船の運賃に上乗せして徴収する案を検討。その場合は船会社が特別徴収義務者となる。導入後は窓口対応や事務手続きが増加することから、町は今後、各船会社と調整を重ね理解を求めていく。島々間の移動に際する徴収はない。
税率は総務省の同意基準や観光客に対する支払意思額調査の結果などをふまえ具体化を図る。
意見交換では「ユニバーサルツーリズムの観点から、観光困難者を課税対象とするのも一つの手」(上妻毅氏)、「伝統行事に参加する郷友会などは対象外とした方が良い」(大久研一氏)などの意見があった。
同会は条例の素案を作成、パブリックコメントを実施したのち、来年3月に町議会に上程する予定。承認されれば、総務省の同意と周知期間を経て施行する流れになる。
前泊正人町長は冒頭のあいさつで西表島の世界自然遺産登録にふれ、「町は観光管理の岐路に立たされている。訪問税はなくてはならない制度。慎重審議を重ね、早期の制度設計ができるよう知見、お力をいただきたい」と述べた。
審議に先立ち、委員に委嘱状が交付された。
委員は次の各氏。
加賀谷陽平(沖縄ITイノベーション戦略センター常務理事)、上妻毅(ニュー・パブリック・ワークス代表理事)、大久研一(町議会議長)、真謝隆一(町公民館連絡協議会会長)、山城秀史(町副町長)
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