「住民無視」と反発 波照間空港問題
竹富町波照間島の波照間空港(滑走路800㍍)を自衛隊の航空機が利用できるよう、政府が「特定重要拠点空港(仮称)」に指定する計画案が浮上したことを受けて6日、波照間住民からは「住民を無視して勝手に進めるな」と反発や、「航空路線が再開するなら延長してほしい」と一定の理解を示す声があった。賛否分かれる中、いずれも「住民にはしっかり説明してほしい」と要求。島民の間で不安が膨らんでいる。
公民館運営にも携わったことがある男性(60代)は、滑走路延長を臨んでいる一人。そんな中、自衛隊利用の計画が持ち上がり「波照間は船の欠航率が高い。滑走路が1200㍍あれば30人乗りの飛行機が飛べるので住民の利便性向上につながると思い、延長を求めてきたが、仮にこのまま延長が決まれば自衛隊が常駐してオスプレイが訓練しないか不安だ」とため息を漏らし、「訓練目的の滑走路延長は許されない」と憤りをにじませた。
「滑走路延長を期待する住民たちの気持ちを踏みにじっている」と不満をあらわにする女性(60代)。「私自身は空港を拡張したら絶対自衛隊が利用すると言ってきた。それが現実になろうとしている」とショックの様子。
一方で、拠点空港の指定に理解を示す40代男性は「沖縄県は整備する予算がないので防衛予算で延長してもらいたい。ただ、事前の説明はきちんとしてほしい」と賛同。続けて「波照間島はもともと革新系が多いが、若い人は自衛隊への拒否感が低いのではないか」と話した。
観光業の住民は「ずっと島に住んでいるので空港が再開されれば何かと便利だと思うが、自衛隊が入ってくると島の状況は変わるだろう。複雑な心境」と困惑。
竹富町議の一人は、7月に国交省で「波照間空港の早期再開、滑走路延長」を要請したことを引き合いに、「国は空港を管理する県から何も話がないので、県も含めて国へお願いしてほしいというニュアンスの話をしていた。こちらの要望は、あくまで民間航空機の利用。いきなり軍事的な話になって驚いている」と懸念を抱いた。
拠点空港に指定されると、滑走路の延長やエプロン整備などを行い、既存事業を促進させ追加工事も可能。政府は、拠点空港の円滑な利用に関する枠組みを設け「有事のみならず平時でも円滑な利用を確保する」と考え方を掲げている。(屋比久賢太)
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