「一次産業崩壊の危機」農業生産額、5年前比で半減
【与那国】2022年の町内全体の農業生産額が1億9072万円と5年前の3億7089万円からほぼ半減していることが20日、開会中の与那国町議会で明らかになった。サトウキビの生産量は前年比2540㌧減の3523㌧となっており、一般質問で質問した嵩西茂則氏は「来期からは2千㌧クラスになると思う。そうすると製糖工場の閉鎖問題につながっていく」と危機感をあらわにし、農業振興を公約に掲げる糸数健一町長に対し「町の一次産業は崩壊の危機にひんしている。任期中に農家に足を運び、できることから一つずつ取り組んでほしい」と念を押した。
町の統計資料によると、与那国町の昨年の農業生産額は、サトウキビが7398万円(前年比約42%減)、水稲が225万円(同3%増)、長命草が262万円(同25%増)、畜産が1億1448万円(同17%減)。
一般質問で嵩西氏は、町のキビ対策室の在り方を問題視。「2人体制というが、勤務体系や責任の所在もあいまい。農業の運営委員会メンバーにも入っておらず、何が問題かも分かっていない状況」と指摘し改善を求めた。
また、町内の家畜セリ市場の計量器が数年前から使用できない状況になっていることも明らかにし、小嶺長典産業振興課長は「購買者からも(与那国)島での体重が知りたいと言われている。何とかしたいが、まだ対策はできていない」と述べた。
今年6月に提出された与那国町の畜産業振興に向けた支援に関する請願に記載されている「運搬費補助」についても言及し、「ヒアリングしたところ、石垣までの船ではなく陸送代を補助してほしいとのことだった。以前はJAがやっていたというが、今は運べない人は牛を飼うのを諦めている」と現状を述べた。
嵩西氏は「畜産もキビも崩壊の危機。水稲も一農家しかいない。時間はどんどん過ぎていくので、対策室のことなど問題の一つずつ克服してほしい」と要望。農業の衰退について聞かれた糸数町長は「身に染みて感じているところ」と答弁した。
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