与那国町県総合防災訓練 住民ら指定場所へ避難
【与那国】2023年度沖縄県総合防災訓練(県、石垣市、竹富町、与那国町など共催)の一環で、与那国町では29日、住民や観光客の避難・誘導、要配慮者のヘリによる島外搬送訓練などが行われた。住民や観光客など計144人が、それぞれ指定された場所へ避難した。訓練には池田竹州副知事が糸数健一町長とともに視察し、避難経路や誘導体制を確認、離島の避難態勢の課題などを検討した。
午前10時、マグニチュード9・0、震度6弱の地震が発生した想定で訓練が開始。役場内に町災害対策本部を設置し、島内10カ所ある防災行政無線で「地震発生。大きな揺れに備えてください」「姿勢を低く、頭や体を守ってください」などと呼び掛けた。
数分後に大津波警報が発表されると、ナンタ浜にいた住民や観光客役の住民らが高台へ避難を開始。誘導員が津波フラッグを振り、放送が聞こえない人へも避難を呼び掛けた。
高台への避難が終わると、誘導役の町職員が「ナンタ、5分で避難完了。22人です」などと避難者数や避難にかかった時間を対策本部へ連絡した。
対策本部では、島内各地の指定避難場所から避難者数の報告が行われたほか、町役場に連絡のあった傷病者や被災状況をまとめた。各避難場所の周辺には誘導員を数人ずつ配置し、住民の迅速な避難へつなげた。
午後からは、特別養護老人ホーム「月桃の里」の入所者に負傷者が出た想定で、陸上自衛隊第15旅団のCH47ヘリを使用した患者の搬送訓練を実施。午後1時、月桃の里東側草地にヘリが到着すると、離着陸時に発生する強い風のなか、車いす患者3人とストレッチャー患者一人を搬送者がヘリまで運んだ。
このあと、比川地区の要配慮者を運んだ自衛隊救急車が到着し、ヘリの横に停車。ストレッチャー患者一人を救急車から運び出し、ヘリ後部へ搬送した。
与那国町内での一連の訓練を終え、池田副知事は「宮古・八重山は有人離島が多く距離も離れていたりと本島とは異なる課題がある。実際の時間や誘導体制を検証し、よりよい避難計画がつくれるように町と連携して取り組んでいきたい」と述べた。
糸数町長は「今できる範囲のことは今回の訓練のなかでできた。訓練しなければいざという時に対応できないので、今回で終わるのではなく、安心して対応できるように同様の訓練を積み重ねていきたい」と振り返った。
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