石垣―基隆定期航路開設へ
石垣市は石垣と基隆(台湾)を結ぶフェリー定期航路の開設に向け検討委員会を立ち上げる。外国からの航空路線やクルーズ船寄港以外に新規航路開拓へ関係者等の意見を聴取し、課題を抽出して航路開設の実現性を探る。定期化すれば、インバウンドの入域だけでなく、八重山から人の往来や物流の活性化にも期待が高まる。市によると、早ければ7月に検討委を発足し、年内で報告書をまとめる計画。
ことし5月に新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが5類に引き下げられ、市も観光産業を軸に本格的な経済成長を狙う。海外からの入域観光客数の大半を占める台湾からの誘客を一層促進させるため、高速フェリーの定期化を目指す。
候補に挙がっている船舶は、2016年に試験運航を実施した「ナッチャン・レラ」(総トン数1万702㌧)。旅客定員は最大約800人、積載貨物は1階部分に大型トラック28台程度、2階に乗用車100台程度が可能。アルミの双胴型で全長112㍍と大型のため、高い波高や気象条件が悪くても安定した航海ができるという。石垣―基隆間の航行時間は片道4~5時間を想定。
ナッチャン号は現在、台湾法人のWagonグループが所有している。
検討委は国、沖縄県、石垣市、金融機関、観光関係、民間の船舶会社などからメンバーを構成する。検討事項のポイントは、安定的に継続運航するための組織体制づくりやビズネススキームの構築、採算面などになるとみられる。
石垣―台湾間で人や貨物を積載した船舶の運航は、2008年まで那覇市の海運会社が行っていたが、倒産により現在は別会社が貨物船のみ運航している。
20日、記者懇談会で検討委の立ち上げを発表した中山義隆市長は、台湾からの入域観光客だけでなく、石垣からの団体・修学旅行の需要拡大や物流の往来にも期待を寄せ、「実現すれば1週間に1回は運航させたい。料金は航空運賃よりも多少安くなると思う。できる限り実現に向けて調整していきたい」と述べた。
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