開設準備課設置を 石垣―基隆間定期航路
- 2023年12月24日
- 政治・行政
石垣―基隆間の定期航路フェリー開設に向けて、課題抽出やその対応策を検討する委員会(委員長・嶋田廉石垣市企画部長)は22日、中山義隆市長に提出するための報告書(案)をまとめた。同案によると、採算を安定させてフェリーを持続的に運航するため、人の移動だけでなく貿易品目の開拓が必要。運営主体は共同企業体(JV)が望ましく、石垣市の参画も検討し、運営主体や関係機関と連絡調整を図るため市役所内に「石垣・基隆定期フェリー航路開設準備課(仮称)」の設置を求めている。
ビジネスプラン
石垣市で海外からの入域観光客数の大半を占めているのは台湾になる。これまで検討委は、定期航路開設に向け採算が取れるかに焦点を当て、多種多様なビジネスプランの提示など、総合的な石垣市のまちづくりの方向性も見据えて意見交換を重ねてきた。
使用を予定する船舶は「ナッチャン・レラ」(1万712㌧、旅客定員800人、ナ号)。検討委が提示するビジネスプランは▽船内における免税商品・限定商品の販売促進▽船内飲食の充実とエンタメ施設の設置▽石垣を拠点に輸出入する貿易品の開拓▽石垣でビジネスをする台湾人が増えることを見越して、外国人のビザ取得が容易にできる特区制度の創設(就労ビザ取得の条件緩和等)―などさまざまある。
課題
開設に係る諸課題として、ナ号は船と岸壁とを橋渡しする貨物用の出入り口となるサイドランプが非搭載のため搭載が必須。多額の費用を国の補助制度活用などの検討が必要。
手狭な石垣港の港湾機能の拡充も要件に挙げた。
安定運航には、一定量の貨物を安定して持続的に運搬する必要があり、石垣から新たな輸出品目を開拓するため、企業誘致の推進も行わなけらばならい。
運営は、基本的に民間企業が特定の事業遂行を目的に共同設立するJVが望ましい。市は直接的な参画、または補助制度や総合的なまちづくりを通じて運営主体をさまざまな形でサポートすることを求めている。
重要施策
航路開設のために重要な具体的施策は▽安定的な貨物収入へ、台湾のニーズを踏まえた貿易品目の開拓▽石垣市に住所を有する人の運賃引き下げなどへ運営主体と調整▽旅客数の確保と安定を図るため、石垣市による運賃補助等の施策推進▽ナ号を利用する台湾旅行客に10年用パスポートの取得費用を全額補助▽サイドランプ搭載や電気系統の整備等、必要な支援を行うこと▽石垣港から市街地方面の公共交通機関の整備(自動運転バス・オンデマンド交通含む)を進める―など。
航路開設は、ヒト・モノ・カネ・アイデアを積極的に呼び込むことにもつながり、生産性向上とイノベーション促進に向け民間投資を引き出し、石垣市における雇用創出、賃金水準の上昇や若年層の所得増加を促すことで、経済の好循環を実現することも可能になるという。
報告書は25日に中山義隆市長に手交し、今後の対応について記者発表する。
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