豊原の入植70周年祝う
【西表】豊原集落の入植70周年記念祭が10日、公民館「開拓の里」で開かれた。豊原は琉球政府の計画移民として1953(昭和27)年に竹富、波照間などの地元、久米島、大宜味村からの開拓者により南風見地域に築かれた。1734年琉球王府による波照間島からの移民の南風見村はマラリアなど風土病で1920(大正9)年に廃村となっており、新たな集落名を公募して玉盛淳則さんの「豊原」に決定した。
開拓の始まりはかやぶき屋根に竹の床の24坪の協同合宿所から。生活用水には大変苦労して、流水、穴を掘ったたまり水や、南風見村近くの湧水を一斗缶にくみてんびん棒で担いで700㍍の坂道を運んだ。五カ所掘った井戸は石灰過多で飲用不適とされても利用された。フケガワラ上流に水源を発見するも公共工事は成らず、沖縄高等弁務官からの1450㌦を得て、1・5㌔の配管や施設を農作業の合間に住民の手で作り上げて1961(昭和36)年2月に集落への送水を実現。今も農業用水として活用し、毎年入植記念祭の朝に感謝の清掃作業を行っている。
この日も午前中は住民総出で水場や公民館周辺の清掃、祝賀会の料理などで力を合わせ、午後は親睦グラウンドゴルフ大会で楽しんだ。午後5時から旗頭興しや豊原音頭の巻き踊り、満月太鼓ばやし、獅子舞を披露。グラウンドゴルフの結果発表と表彰後に行われた祝賀会では、老人会がカラオケ、子供会小学生はダンス、婦人会は「豊原口節」「買い物ブギー」、青年会は「かえるの歌選手権」壮年会は「馬ぬしゃー」を演じた。
中体連で参加できなかった中学生の朗読「豊原の歴史」の動画も上映された。
また、硬式テニスで玉元愛紗さんのシングルス優勝、池原愛さん・浅田リアナさん(大原)のダブルス3位で、県大会進出の朗報が伝えられ、皆を喜ばせた。
翌日の町民球技大会の選手壮行会、新役員紹介も行われた。多宇則雄公民館長は「入植1世が少なくなってさみしいが、2世、3世、移住者の新住民も、皆が協力して1世の皆さんが築いた豊原を守っている」と話した。小さな4世も育っていて、70周年の節目を大きな家族のように和やかに祝った。
(山城まゆみ東部通信員)
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