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祖納と干立、厳かに節祭

黒装束を身にまとったフダチミを先頭に入場する祖納のアンガー行列=9日午後、西表祖納の前泊海岸

黒装束を身にまとったフダチミを先頭に入場する祖納のアンガー行列=9日午後、西表祖納の前泊海岸

来年の世果報を祈願しながら境内を練り歩く干立のミリクと滑稽な動きを見せるオホホ=9日午後、西表干立の干立御嶽

五穀豊穣に感謝し奉納芸能

 【西表】500年以上の歴史を誇り国の重要無形民俗文化財に指定されている「西表島の節祭(シチ)」の世乞い(ユークイ)が9日、西表島祖納と干立の両集落、舟浮で厳かに執り行われた。「農民の正月」とされる伝統行事は黒装束のフダチミを先頭にしたアンガー行列や奇声を発して滑稽な動きを見せるオホホなど独特の芸能、神事が奉納された。参加者らは一年の五穀豊穣を神に感謝し、来年の世果報と住民の無病息災を祈願。訪れた郷友や観光客らは生き生きと継承される伝統文化に見入った。(11日に小浜島の結願祭と写真特集)

 両公民館では午前5時から一番ドラを打ち鳴らして世乞いの幕開けを告げ、旗頭が起こされた。干立は午後0時半から干立御嶽前の浜で櫂をこぐ動きで海の幸や平穏を願うヤフヌティを行い、満潮に向かう時間に合わせニライカナイから世果報を呼び込むパーリャ(舟漕ぎ競漕)を行った。

 御嶽での奉納芸能では一番狂言の天上天拝、二番狂言の早使い・川平早使い、三番狂言の牛追い狂言、女性らによるアンガー踊りなど次々に奉納。ミリク行列が境内に入場すると「オホホ」という奇声とともにオホホが乱入。滑稽や動きで女性を手招きし誘い会場の笑いを誘ったほか、札束を客席めがけてばらまき、子どもたちを喜ばせた。

 干立公民館の眞謝隆一館長は「この3年間は規模縮小という厳しい状況の中でも欠かさず執り行ってきた」とコロナ禍を振り返り、「ことしも立派な豊作に恵まれて、(住民が)無病息災であるよう神司に祈願していただきたい」とあいさつした。

 祖納は公民館で正午、人間から神に代わるスリズの儀式が執り行われ、ミリク神一行は集落内を練り歩き、前泊海岸へ移動。舟浮かべの儀式の後、子孫らを引き連れたミリク行列やアンガー行列が入場した。ミリク一行は海岸に設置された船元の御座に着座し、狂言や棒術、アンガー踊りなどを見届けた。

 ユークイ儀式は午後3時20分ごろから行われ、ドラや太鼓に呼応する形で「サーサーサー」の掛け声が海岸に響いた。舟子22人は力いっぱい櫂をこぎ、まるまぼんさんを回ってゴールを目指した。ことしは白組が勝利し、こぎ手の1人が息を切らしながらパチカイ口上を述べた。

 祖納公民館の上亀直之館長は「この節祭はわれわれの誇りとするところであり、未来永劫、子々孫々へ引き継いでいかなければならない貴重な伝統文化遺産だ」と述べ、継承に思いを新たにした。

  • タグ: 西表島節祭
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