竹富町条例、観光客制限は「違憲」 西表のツアー業者、町を提訴
【那覇】西表島のツアーガイドが案内できる観光客数を制限する竹富町の条例は営業の自由を保障する憲法に違反するなどとして14日、西表島のツアー業者が那覇地裁に訴状を提出、竹富町を提訴した。訴訟は原告の業者が同町による制限の取り消しと、制限を受けることなく営業できる権利を主張する、取り消しと当事者訴訟。
提訴したのは西表島などでツアー業務を展開する㈱NASH(奥田光三郎代表取締役)、西表島上原に本店がある。
訴状によると原告の業者は、陸域あたりの制限を違憲としており「案内客数制限を超えてツアー業務を運営することができない状態。制限を受けることなく営業することができる権利を奪われている」と主張、「制限の真の目的が、原告以外の小規模の地元既存事業者の保護にあるからに他ならない」など訴えている。
また、裁判中に町が定める制限を受けずに営業できるよう求める仮処分命令申立書、陸域での観光客制限の効力を止める執行停止申立書も那覇地裁に提出予定。
同条例は世界自然遺産に登録された西表島の持続可能な自然環境事業を推進し、永続的な地域社会の発展に寄与することを目的に制定。観光ガイドを免許制にして2020年4月に施行。23年9月に同町は、陸域と海域における1日あたりの入域制限を定めた西表島エコツーリズム推進全体構想と一体的運用を図るため、同条例の改正案を町議会に上程し、全会一致で可決、同11月に施行された。
全体構想が定める1日あたりの観光客数は陸域だとガイド1人で▽仲間川のカヌーなど12人以内(1事業者あたり24人以内)▽ヒナイ川7人以内(同14人以内)▽北東部8人以内(16人以内)―など定めがある。同条例41条には罰則規定があり、関係法令の違反や全体構想の内容に反した場合、5万円以下の過料。36条には免許取り消し事項がある。
町を提訴した奥田代表は八重山毎日新聞社の取材に対し、条例改正前の夏場の需要が島全体で1日300人程度あったとして「1業者1日16人では話にならない。会社を守るためにも町に伝えたが聞き入れてもらえない」と話す。50人の団体客を受け入れた際は、1業者16人しか受け入れられないため他業者に振り分けたという。同代表は「他の業者に行くだけなので環境負荷は変わらず、オーバーツーリズムすら解決していない」と制度を疑問視した。
竹富町自然観光課の担当者は「訴状がまだ届いていないのでコメントしようがない」と述べた。
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