「有事」想定し輸送訓練 住民避難計画の実効性確認
- 2023年11月22日
- 政治・行政
「台湾有事」などを念頭にした先島諸島の住民避難をめぐって、政府や関係自治体、航空会社などの担当者らが21日午後、石垣市役所で航空機による輸送シミュレーションを行った。シミュレーションは、ことし3月に実施した先島からの住民避難計画の実効性を高めるため、市や竹富町の職員を避難役に見立てて、新石垣空港での避難者受け付け確認を行った。今回のシミュレーションから見えた成果や課題は、来年1月30日に沖縄本島で開く住民避難計画図上訓練に生かしていく。
シミュレーションは非公開で行われた。関係者によると、内閣官房、石垣市、竹富町、全日本空輸、日本航空が参加。空港で避難者の滞留を防ぎ、円滑に搭乗させて九州へ輸送するため、避難者をオンラインによる事前登録と、空港で現地登録する2パターンを試した。
市DX課は、市の公式LINE機能を活用して、1人ずつの個人情報を事前に登録するシステムを構築。登録時に発行されるQRコードを搭乗受け付けで読み取り機にかざすと、避難者の個人識別番号が印字された券がもらえる。避難者は避難先の九州に到着後も券の携帯が必要。避難者情報の追跡を行えるようにする。
現地登録はQRコードをスマートフォンで読み込み、専用のフォーマットに個人情報を入力するもの。
避難はスピードを要するため、市は避難先に持っていける荷物を1人につき機内手荷物でリュックサック1個を想定。航空機の駐機時間40~50分の間に、搭乗を完了させて九州へ向けて離陸する。
関係者によると、事前登録と現地登録では、事前登録が約3倍も時間を短縮できた。事前登録の導入で空港の混雑を緩和し、限られた時間内で円滑な輸送につなげていく。
一方、政府や県などは21、22日に石垣市で八重山諸島の自治体や民間の航空・船舶会社、国の機関などが一堂に会して具体的な避難計画の策定に向け協議する予定だったが、北朝鮮が22日午前0時~12月1日午前0時までの間に人工衛星ロケットの発射通告をしたことで、そこに対応するため県が中止にした。
沖縄県国民保護避難実施要領検討会では、新石垣空港で動線などの実地確認、要支援者の避難の在り方、船舶による輸送手段の確保について意見を交わす計画だった。
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