優れた創意工夫で文科大臣賞
科学技術に関する研究開発や理解増進などに顕著な成果を収めた人を顕彰する2023年度科学技術分野の文部科学大臣表彰でこのほど、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点(熱研、大前英所長)=石垣市=に所属する技術支援職員の識名安輝さん(48)、前津雅英さん(40)、波照間雄人さん(33)の3人が創意工夫功労者賞を受けた。「低コストな土壌中の溶質動態観測システムの考案」が認められた。
科学技術、若手科学者、創意工夫功労者、研究支援の各賞に全国から1747人が応募、480人が受賞した。沖縄県内の受賞者は5人で、うち3人が石垣市出身の技術支援職員。
創意工夫賞は、優れた創意工夫により職場での技術の改善向上に貢献した者に贈られるもの。3人が考案したシステムは、熱研が環境負荷軽減を目指す「熱帯島嶼環境保全プロジェクト」の一環として行われている土壌中の窒素の動きに関する研究で使用されている。
同研究では、円筒を用いて農地土壌を再現する「カラム試験」を実施。これまでは紙製のボイド管を使用していたが、漏水防止など特殊な加工が必要なため再利用ができず、反復試験に多くの費用と準備時間を要していた。このため、職員3人は担当の濵田耕研究員に確認・調整しながら塩ビ管など汎用部材を用いた観測システムを開発、再利用と準備時間の削減が可能になった。さらに、これまで難しかったセンサー類の設置もできるようになった。
識名さんは「濵田研究員に確認しながら手作りで工夫したことが賞に結びついたと思う。後輩たちも喜んでいる。ゆくゆくはこの研究が肥料の削減やお金のかからない農業につながればうれしい」と話している。
熱研は「本成果によって、より精密な試験が可能となり、技術開発の加速が期待される。国際農研では今後も本システムを活用して環境負荷軽減美術の開発に取り組んでいく」としている。
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