築110年民家再生へ 移築向け解体工事スタート
- 2023年05月24日
- 地域・教育
古民家の保全や活用を通した町づくりを推進しようと今年4月に発足した全国古民家再生協会沖縄第2支部(味間剛支部長)の移築第1弾となる工事が23日、市内平得の築110年の民家がある現場で始まった。解体には当時の工法を知る宮大工・宮良善嘉氏(87)も参加。職人らへ伝統工法を伝えながら指導にあたった。味間支部長は「古民家は、歴史を伝える地域の重要な資源だ。社会的に意義のある私たちにしかできないことに取り組んでいきたい」と力を込めた。
今回、移築のために解体工事が始まった民家は1913(大正2)年に現在の場所に建てられたもので、広さは約30坪と当時としては大きめの木造平屋建て。
柱には、チャーギ(イヌマキ)やイーク(モッコク)など沖縄在来の木材がふんだんに使われており、柱を支える基礎にはサンゴでできたキクメ石が利用されていた。
特に強度が強く反りや割れが少ない上に耐蟻性もあるイークは、琉球王朝時代、資源の枯渇を心配して平民が使うのを禁止されていたほどの銘木だ。
宮良さんは「今ではイークは山から切り出すことはできず手に入らない」と説明した。
高校生までこの家で過ごしたという宮里結十子さん(71)は、この日のために久米島から来島。「母が生まれた時に建てられたと聞いていた。ここ15年ほどは、だれも住んでいなかったが、ただ壊すのはしのびなかった。再生してどこかで使ってもらえるとうれしい」と安堵の表情を浮かべた。
島内には、築50年以上の古民家が少なく見積もっても200棟以上あると見られており、味間支部長は「移築作業を通した技術継承に努めるとともに、地域の価値を高める古民家としてPRしていきたい」と話した。
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