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三線のコンクールで入賞した人を取材する

 三線のコンクールで入賞した人を取材することがある。三線を始めたきっかけに苦労話、今後の抱負といった流れで聞くことが多い▼このパターンに当てはまらない人もいる。ある人は抱負の部分で「うーん」と考え込んでしまい、答えが出ない。目標があって三線を弾いてきたはずだ。こっちも困ってしまった▼結果的にその人は「地元の祭りで親から代々続いてきた唄三線役を引き継ぎたい」と思い出したように言った。そこを見出しに使った▼一般的には「多くの曲を上手に弾きたい」など明確に宣言することがある。これは幼少期から三線が身近にあった人と、ある日を境に必死で学んだ人の違いだと思うようになった▼フランスの社会学者、ピエール・ブルデューさんが言うには、親の趣味や学習態度は子に引き継がれる。これが「文化資本(ディスタンクシオン)」で、いわゆる教養という見えない属性だ。その人の妙にがっつかない姿勢は、幼い頃から三線という文化資本を身に着けている余裕だと理解した▼八重山毎日新聞社主催の第47回八重山古典民謡コンクールには159人が応募した。6月2日から審査が始まる。幼少期における三線との距離感は審査結果にも、三線奏者としての将来性にも関係ない。多くの人に夢をかなえてほしい。(玉津盛昭)

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