蔵元絵師の画稿ずらり 来月19日まで企画展示会
八重山博物館
国の重要文化財「八重山蔵本絵師画稿類(宮良安宣旧蔵)」の展示会が19日、石垣市立八重山博物館特別陳列室で始まった。蔵元絵師が近世末期から明治中期にかけて描いた貴重な画稿の数々が展示され、当時の人々の生活や年中行事の様子を感じることができる。入場無料、11月19日まで。
八重山蔵元は琉球王府が八重山を統治するために設置した出先機関で、「蔵元絵師」は絵画による記録・報告を公務として行った役職。画稿類の対象は弥勒行列や豊年祭といった年中行事、仏壇飾りなどの生活風俗、布晒しや稲刈りなどの生業、漂着外国人の記録など多岐にわたり、歴史的価値から1991年に市指定文化財、11年に県指定有形文化財、19年に国の重要文化財に指定されている。
今回は全90点から厳選した原本14点や写真パネルなど13点の計27点が展示されている。絵師の宮良安宣、喜友名安信や画稿を収集・保管し、市へ寄贈した鎌倉芳太郎についての解説もある。
名桜大学特任教授の波照間永吉氏は「画稿は当時の様子が非常に細かく描かれており、歴史研究においてもとても重要な資料。蔵元絵師の日常の仕事内容もよく分かる展示だ」と評価した。
同日午前に行われたオープニングセレモニーには市教育委員会関係者のほか鎌倉氏の出身地香川県三木町観光協会の串田えみ会長らが出席。天久朝市教育部長は﨑山晃教育長のあいさつを代読し、「八重山の誇る貴重な文化遺産の価値について広く共有する機会となれば」と来場を呼びかけた。
企画展は午前9時から午後5時まで。期間中は画稿原本の一部展示替えを行う。
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