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工事現場から戦争遺跡 市教委調査中、報道陣に公開

記録保存調査が進められている真栄里宮鳥トーチカ跡。右側はモルタル、左側は津波石を活用したとみられている=25日午後、真栄里

記録保存調査が進められている真栄里宮鳥トーチカ跡。右側はモルタル、左側は津波石を活用したとみられている=25日午後、真栄里

内部は左側(南側)に銃眼、右側(北側)に出入口、中央炉跡などもみられる=25日午後、真栄里

「真栄里宮鳥トーチカ跡」

 石垣市教育委員会文化財課は25日午後、ことし3月に真栄里のエディオン南側で発見された戦争遺跡「真栄里宮鳥トーチカ跡」を報道陣に公開した。遺跡からは銃眼や薬きょう、砲弾を受けたとみられる痕跡が発見されており、同課が現在記録保存調査を進めている。

 同跡はことし3月、サンエー石垣シティ建て替えに伴う伐開工事を行っていた建築業者が発見。もともとは原野の状態で同課も遺跡を把握しておらず、開発前の文化財の有無確認でも「周知の遺跡なし」と回答していたが、5月に業者から「遺跡発見届」が出され、新規発見の遺跡として登録された。

 遺跡の大きさは幅6・3㍍、奥行4㍍、高さ2・4㍍で津波石とみられる琉球石灰岩とモルタルが使用されている。北側と東側に出入口、南側と西側の2カ所に銃眼が設けられており、内部には中央炉跡、壁面には棚のような構造が複数ある。屋根上には当時使用したコンクリート袋が10点以上残されている。

 外壁屋根の鉄筋がむき出しになっている個所や、コンクリート袋が一部めくりあがっている個所があることから同課は「砲弾を受けた痕跡」と推測。長さ約10㌢の空薬きょう1つも出土している。

 調査業務を行っている㈱琉球サーベイの金武正紀調査員は「壁などが厚く、かなり頑丈に作られていると感じた。戦争の傷跡がここまで生々しく残っているとは」と驚いた様子だった。

 同課は10月4日まで写真・レーザー測量などの調査を実施し、同5日以降は建築業者へ引き渡す。遺跡は建物部分にかかる個所であるため取り壊される見込み。

 同課は今回実施した調査結果と今後予定している文献・聞き取り調査の結果をまとめ、来年度に報告書を刊行する予定で、大濵憲二課長は「トーチカに関して情報があれば提供してほしい」と呼びかけた。

 遺跡周辺では現在工事が進められているため、一般立ち入りを禁止している。

  • タグ: 真栄里宮鳥トーチカ跡石垣市教育委員会文化財課
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