生産農家に臨時支援 1頭当たり1万5千円
農水省、子牛価格下落受け初発動
和牛子牛の価格下落を受け、農林水産省が臨時対策として措置する繁殖農家向けの経営支援事業が14日、初めて発動した。九州・沖縄ブロックの4~6月分の平均価格が発動基準価格の60万円を下回る57万9942円になったことから、1頭当たり1万5千円が県畜産振興公社を通して9月中に支援交付金として農家に支払われる。一方で県内の平均価格は前年同月を下回る月が続くなど価格低迷が長期化。八重山、黒島の両市場では、さらに低い水準の取引価格が続いており農家からは「全く足らない」と悲痛の声が上がる。
八重山家畜セリ市場と黒島家畜セリ市場の子牛価格は、新型コロナウイルスの影響で外食など和牛の需要が低迷したことから下落。ロシアのウクライナ侵攻が始まってからは、餌代などの高騰が農家の経営に追い打ちをかけている。
今年の初セリは、前年と比較して八重山で11万5062円安、黒島で15万3324円安と厳しいスタートとなり、直近7月の平均価格も八重山で48万1287円、黒島で40万5077円と採算ラインと言われる50万円を大きく下回っている。
生産農家の男性は「1万5千円では全く足りない。もう運転資金が払えないところまで来ている。子牛は売っても売らなくても赤字だ」と苦境を訴えた。
八重山は「自家採草できるのが利点」とされてきたが、ことし3月には深刻な牧草不足におちいり、牧草の盗難事件が発生。男性は「牧草不足は夏になり解消されてきているが、冬になれば再び足らなくなる。餌をやらないわけにはいかないのでさらに厳しい冬になる」と不安を口にした。
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