受付枠「減」影響恐れ 生産農家らの不安顕在化
- 2023年06月06日
- 社会・経済
サトウキビの夏植えの受け付けが5日、石垣市農業開発組合で行われ、多くの農家が長い列をつくった。中には午前8時開始の整理券配布に対し、午前3時から待機する農家の姿もあった。この日、農業開発組合は70㌶の予定から急きょ2㌶増やして72㌶、JAおきなわは20㌶を受け付けた。申し込みに漏れた農家らは「生産意欲がなくなる。高齢の農家はこれをきっかけに離農する可能性もある。サトウキビ産業全体の危機だ」と訴えた。
島内では、多くの農家がサトウキビの苗の植え付けをJAや農業開発組合に委託しているが、植え付けを希望する農家の数に対応が追いつかないケースが発生していた。
今回の夏植えは、採苗と植え付けを担う両団体のうち、JAが人手不足や経費削減を理由に受付枠を例年の約30㌶から10㌶減らし20㌶としたことなどから多くの農家が申し込みできず、以前から指摘されてきた問題が顕在化した形だ。
JAの担当者は「マンパワー不足でこれ以上の対応は難しい。関係機関と協議した結果だ」などと説明。生産農家の自助努力での植え付けを求めた。
受け付けが締め切られ、申し込みできなかった男性は「農家は高齢化が進み、自分で手植えするのは不可能。ほかの農家に頼もうにも、みな自分のところで手いっぱい。このままでは夏植えは諦めるしかない。増産と言うが、これではやりようがない」と声を落とした。
別の農家は「急に『面積を減らします』といってもこちらも困る。前回の夏植えの時点で農家に案内するべきだ」と憤った。
石垣島製糖では夏植え収穫面積488㌶(前期実績504㌶)を見込んでおり、多宇弘充常務取締役農務部長は「製糖工場は、原料あってのものだ。植え付けができるよう工場の人員で農家をバックアップし、今期は何とか乗り越えたい」と述べ「関係機関を集め、来期以降を含めた今後の対応を検討したい。大口の生産法人に体力を付けてもらい、採苗や植え付けを担えるよう細やかな対応も必要だ」と強調した。
市さとうきび生産組合の伊敷繁光組合長は「今後は春植え、株出しで対応していく必要がある」と指摘した。
市農政経済課の松川英樹課長は「7日には増産プロジェクトを開催する。県も含めてその中で、対応を検討していきたい」と述べた。
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