平和の祈り 世界へ 沖縄戦78年慰霊の日
【糸満】戦後78年を迎えた「慰霊の日」の23日、沖縄戦の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園広場で「沖縄全戦没者追悼式」(主催・県、県議会)が行われ、約4000人(主催者発表)の参列者が故人を偲び、世界平和へ祈りをささげた。2020年から新型コロナ禍で規模縮小して行われた同追悼式は、4年ぶりに通常規模で開催。玉城デニー知事は「沖縄から世界へ平和のバトンをつなげる」と平和宣言した。(2、7、8、9面に関連)
追悼式は午前11時50分に始まり、赤嶺昇議長が「この地に生かされている意味を自らに問い続けることが真の慰霊につながる」と式辞を述べた。正午には参列者全員で黙とう、戦没者の冥福を祈った。
玉城知事は平和宣言で沖縄戦から日本復帰の流れ、沖縄の米軍基地負担に触れ「辺野古新基地建設の断念など基地問題の解決を強く求め続ける」と訴え。防衛力強化を図る政府の安保関連3文書の改定には「地上戦の記憶と相まって、県民の間に大きな不安を生じさせている。対話による平和外交が求められる」と主張した。
岸田文雄首相は来賓あいさつで沖縄の基地負担軽減を「目に見える成果を着実に積み上げる」と決意、「安全保障環境は戦後最も厳しく複雑な状況にあるが、平和で豊かに暮らせる世の中を実現するため、これまでの歩みを貫き、不断の努力を重ねる」と述べた。
追悼の言葉で沖縄県遺族連合会の宮城篤正会長は「今後二度と『戦没者を出さない』という強い信念で活動を続ける」と決意した。同会は追悼式前に4ぶりとなる平和行進を行った。
つくば開成国際高校3年の平安名秋さんは平和の詩を朗読した。このほか、細田博之衆議院議長、尾辻秀久参議院議長もあいさつした。
追悼式終了後は一般焼香と献花を実施。多くの人が列をつくり祭壇に向かって合掌、戦争犠牲者の名前が刻銘された「平和の礎」の前でも故人を思い手を合わせた。
岸田首相が和歌山県での遊説中に爆発物を投げ込まれた事件もあったことで、会場周辺は厳重な警戒態勢が敷かれた。会場周辺は沖縄県警を中心に警察官らが5~6㍍間隔で配置され、公園周辺で不審物を探す様子も見られた。岸田首相のあいさつ後、一部でやじもあったが大きなトラブルはなかった。
参列者は手荷物検査や機器探知検査場を通過して会場入りした。
関連するニュース
- 恒久平和へ決意新た 戦後78年慰霊の日 2023/06/24
- 非戦の願い、世界に発信 沖縄戦犠牲者を悼む 2022/06/24
- 平和な世へ、誓い新た 戦後77年慰霊の日 2022/06/24
- 八重山平和祈念館、アニメ上映 沖縄戦、親子で学ぶ 2022/06/24
- 恒久平和願い全戦没者哀悼 八重守之塔で市祈念式 2021/06/24
- きょう慰霊の日 76年目、鎮魂の祈り島包む 2021/06/23
- 沖縄戦後75年 「平和の尊さ胸に」 2020/06/23
- 戦争は決してやらないで 平和フォーラム 2019/12/16
- 戦没者24万人を追悼 参列者5100人が平和の祈り 2019/06/24
- 各地で平和学習 慰霊の日前に当時の様子学ぶ 2019/06/22