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有事想定色合い濃く 米掃海艦、あす石垣港「通常入港」

在日米海軍の掃海艦「パイオニア」の入港が予定されている南ぬ浜町の新港地区クルーズ専用バース=4日午後

在日米海軍の掃海艦「パイオニア」の入港が予定されている南ぬ浜町の新港地区クルーズ専用バース=4日午後

八重山で復帰後3度目

 在日米海軍の掃海艦「パイオニア」(1380㌧)=米海軍佐世保基地所属=が予定通り6日に石垣港へ寄港すれば、八重山では2007年6月の与那国島、09年4月の石垣島に続き復帰後3度目の米艦船民間港入港となる。石垣島へは2度目となるが、今回は初めて南ぬ浜町の新港地区を使用する。前回同様、有事を想定して港湾施設の状況を調査するためとみられる。

 今回の入港も、米国の船舶や航空機は入港料・着陸料を課せられないで日本の港・飛行場に出入りすることができると規定する日米地位協定第5条に基づくもの。

 09年の石垣港入港時には保守系の仲井真弘多知事の自粛申し入れ、革新系の大浜長照市長の反対にもかかわらず米側は地位協定に基づき「休養と親善・友好」を目的として入港した。

 石垣港で掃海艦入港を迎えた当時の在沖米総領事ケビン・メア氏はその後発刊した著書「決断できない日本」で休養と親善のほかに「与那国、石垣両島への米艦寄港は有事を想定して、八重山諸島の港湾施設の状況を把握するために事前に調査が必要との判断から実施したものです」と明らかにしている。

 今回も当初は「親善」を入港目的としていたが、8月14日付連絡で「通常入港」に変更しており、有事を想定した事前調査の色合いを濃くしている。

 今回の入港計画に対し中山義隆市長は「日米地位協定に基づく港湾利用なので石垣市として拒否する権限はない」として自粛を申し入れる考えのないことを明らかにし、民間船への影響のない南ぬ浜町の新港地区クルーズ専用バースで対応すると石垣海上保安部を通して米側に伝えている。

 石垣島ではことし3月16日に陸自駐屯地が開設され、地対艦・地対空ミサイル部隊が配備された。4月28日からは北朝鮮の「軍事偵察衛星」打ち上げへの備えとして南ぬ浜町で長期にわたって地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が展開された。さらに10月には島しょ防衛作戦の連携強化を目的とする実動訓練が行われ、南ぬ島石垣空港(新石垣空港)や与那国空港の使用も調整されている。

 こうした状況下の米艦船入港について、中止を求めている市民団体は「『台湾有事』を想定した南西諸島での日米共同訓練・共同演習の強化、民間港・民間空港の利用拡大を実行に移している」と警戒する。

 前回の入港時に八重山地区労働組合協議会議長として抗議行動を展開した大濱明彦さん(62)は「これまでは理由をつけて入港してきたが、今回は通常入港ということなので、理由なんていらない、いつでも普通に自由に入港できるという意思表示ではないか。米軍が日米地位協定という日本の法律以上の権限を持っていることの意思表示ではないか」との見方を示し、常態化を懸念する。

 パイオニアは6日午前9時の入港、8日午後3時の出港を予定。上陸人員は60人としている。

 

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