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PAC3、南ぬ浜町展開 破壊措置命令

PAC3展開予定

PAC3展開予定

2日に展開されたPAC3の発射機=2日午後3時過ぎ、石垣市南ぬ浜町

クルーズ岸壁西側に配備完了 北朝鮮「衛星」再発射に備え

 北朝鮮の「軍事偵察衛星」発射に備えて航空自衛隊は2日、陸上自衛隊石垣駐屯地に仮置きしていた地対空誘導弾パトリオット(PAC3)2基を人工島の石垣市南ぬ浜町に運び込み展開した。石垣島では5月29日の破壊措置命令から4日後にようやく態勢を整えた。北朝鮮は5月31日~6月11日までの間に衛星発射を通告、31日の失敗後に2回目の発射計画を表明した。これに対し、浜田靖一防衛相は警戒レベルを維持させPAC3展開を11日まで継続する考えを示している。(8面に関連)

 北朝鮮の「軍事衛星」発射を巡り、防衛省はことし4月22日に破壊措置準備命令を発出。先島諸島へ4月30日までにPAC3関連車両等が運び込まれ、石垣島にも発射機2基が空輸された。その後、PAC3部隊や機材は石垣駐屯地で待機。5月29日に破壊措置命令が出たが、台風2号接近のため埋め立て地の南ぬ浜町に展開できず、台風通過を待つように駐屯地内で保管されていた。

 2日、南ぬ浜町の新港クルーズ岸壁西側の国有地(約6・3㌶)にPAC3を展開するため、関連車両30台以上が3回に分かれて移動した。第1陣は陸自八重山警備隊車両、第2陣は空自PAC3の発射機やレーダー搭載車、第3陣はアンテナなどを積んだ車両。

 正午前に先遣隊として八重山警備隊が到着。有刺鉄線で立ち入り制限区域を設けた。発射機は午後1時40分過ぎに到着。午後2時10分ごろ、展開地で北西に向けて発射機2基を立ち上げ、空自が点検や動作確認を行った。防衛省から石垣市へ午後2時過ぎに配備完了の報告があった。

 政府は北朝鮮の衛星発射に伴い、日本領域内への落下物を迎撃するため、海上にスタンダード・ミサイル(SM3)搭載護衛艦、陸上にPAC3を展開している。従来、先島諸島にPAC3は未配備。先島の上空を通過する可能性があるため、緊急配備した。与那国島は初めての展開。

 石垣島では台風の暴風で転倒を懸念し、展開ができなかったとみられているが、政府は運用の詳細を明らかにしていない。自民党や野党からも運用面に関して疑問の声が出ている。

「速やかな対応に一安心」中山市長

 南ぬ浜町へのPAC3展開が完了したことを受け、中山義隆市長は「北朝鮮が5月31日にミサイルを打った際、石垣では台風の影響で予定地に展開できていなかったが、台風が過ぎて速やかに予定地に展開してもらったので一安心」と記者団に語った。

 北朝鮮の発射時に展開できなかった点について「運用の仕方については防衛省から詳細は来ていないが、天候の事情でという報告は受けており、台風なのでしょうがないと受け止めている。仮に台風前に展開したとしても宮古、与那国と同様に運用を停止する状況だったと思う。それは致し方ない」との認識を示した。

  • タグ: PAC3石垣島
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