共同訓練、石垣で公開 離島防衛想定RD
駐屯地拠点に「作戦」展開
離島防衛を想定した日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン(RD)23」を実施している陸上自衛隊石垣駐屯地で24日、訓練の様子や装備品が報道陣に公開された。陸自西部方面隊と米第3海兵機動展開部隊のトップは共同会見でこれまでの「戦術」から「作戦」に訓練を向上させたと説明、「敵対しようとする国々に強いメッセージを送る必要がある」と意義を強調した。
駐屯地の儀仗広場で、03式中距離SAM、12式地対艦ミサイルの各部隊が陣地に進入して射撃準備を行うなど機動的で迅速な展開をアピール。地対艦ミサイルは弾薬の再補給もした。
米海兵隊は「AN/TPSー80Ground」とみられる対空レーダーを展示した。レーダーで航空機やミサイルなど飛来物を探知し、自衛隊と情報共有する。
施設内の大浴場や酒を楽しむ「バー」の公開もあった。
共同会見はトップ2人が冒頭で発言し、時間の関係があるとして代表質問2問に限った。
九州・沖縄を管轄する西部方面総監の山根寿一陸将は、南西諸島について日本周辺で強大な軍事力を有する国が集中するとして「極めて厳しい安全保障環境だ。対応するために我が国の防衛力を抜本的に強化し、日米同盟を強固にすることが必要不可欠」と指摘、陸自の領域横断作戦と米海兵隊の機動展開前進基地作戦などの連携を「さらに具体的に深化させたい」と述べた。
沖縄の海兵隊トップ・米第3海兵機動展開部隊のジェームズ・ビアマン中将は、今回の訓練に米側から3000人、西部方面隊から4000人が参加しているとし、「いろんなレベルで訓練を行っている」と説明。「中国、北朝鮮、尖閣諸島などの問題に対してチャレンジすることがたくさんある。そのために日米共同で強いメッセージを発信していく」と強固な姿勢を見せた。
RDは、陸自と米海兵隊が今月14~31日にかけて離島の防衛を想定した国内最大規模の共同訓練。沖縄や九州、北海道で行っており、沖縄での実施は初めて。
■日米訓練、常態化へ
開設時「計画ない」は「その時点」
石垣島や与那国島を含む沖縄・九州、北海道で行われている日米共同訓練は今後、ことし3月に開設された陸自駐屯地がある石垣島でも常態化する可能性がある。駐屯地開設説明会で「ない」と説明したことに統合幕僚監部の担当者は取材に「その時点での計画はないということ」とした。
報道陣に24日公開された訓練での共同会見で陸自西部方面総監の山根寿一陸将は「さらに具体的に深化させたい」と日米連携の強化を強調。これを後押しするかのように在日米国臨時代理大使は同日、中山義隆石垣市長との面談で「共同演習は極めて重要。そのためには地元の協力が大事」と伝え、中山市長は「わが国の防衛について米軍と自衛隊の連携は大変重要」などとして容認する考えを示した。
一方、石垣駐屯地開設に向けた住民説明会で防衛省自衛隊側が「石垣島で米軍と共同訓練を行う計画は全くない」と断言していたことについて陸上幕僚監部担当者は「その時点での計画はないということ。今後(日米共同訓練が)あるかもしれないので、普通は『現時点で計画はない』と言う」と説明した。
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