八重山毎日新聞社

　北朝鮮による「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射通報に対する破壊措置命令発出を受け、陸上自衛隊石垣駐屯地内に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット（ＰＡＣ3）部隊を待機させている防衛省は30日、同日から6月11日までの間、展開先の南ぬ浜町の使用について市など管理者から許可をとった。市によると、展開先はクルーズ船バース西側。台風2号接近の中、中山義隆市長は通報日時開始前の配備を求める考えを示した。

　北朝鮮は31日午前0時から6月11日午前0時の間に打ち上げると日本政府に通報しており、先島地方では台風2号の接近と打ち上げが重なる可能性がある。南ぬ浜町へのＰＡＣ3移動時期について防衛省・統合幕僚監部広報は八重山毎日新聞社の取材に「運用上のことなので答えられない」と明らかにしなかった。

　市によると、南ぬ浜町への展開について防衛省側から正式に打診があったのは30日午前8時半。配備日時や人員・車両数など詳細については情報を得ていないという。

　市港湾課によると、南ぬ浜への唯一のアクセス手段となっているサザンゲートブリッジは規定により25㍍以上の風速か暴風警報発令のいずれかで封鎖されるため、31日以降は台風2号の接近で通行が規制される可能性がある。同課は使用許可申請のあった30日、防衛省側にこれを伝えた。このため通行の規制前か規制後にＰＡＣ3部隊を移動することになる。

　中山市長は30日の定例記者懇談会で「台風で車両が通行できなくなるのであれば、（台風接近前に）車両を展開し、そこで隊員が残って北朝鮮へのミサイル発射に備えるべきだ。台風が来たから準備できませんというのであればＰＡＣ3配備の意味がない」と強調、北朝鮮の通報日時開始時点の31日午前0時までに展開すべきだとの認識を示した。

　一方、展開先の近くには石油タンクがあるが、中山市長は「安全性を確保できているから、その場所で展開する。（防衛省から）安全性は大丈夫ですとの報告は受けている」と述べた。

　南ぬ浜町への展開について正式打診を受け、市は30日午前、部長級ら庁議メンバーを中心に対策会議を開いて情報を共有。公式のホームページやラインで「北朝鮮の『衛星と称する弾道ミサイル』発射通報に関するお知らせ」を市民に発信した。31日に対策本部を設置し、市民への対応に当たる。

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