カンムリワシ保護 強化
開発による生息環境の減少や交通事故の多発など保護の必要性が高まっている国指定特別天然記念物カンムリワシについて、環境省沖縄奄美自然環境事務所などが4月30日までに初の保全方針を策定した。生息状況のモニタリングや環境アセスメントなどによる生息地の保全、外来種の影響把握、交通事故多発地帯の割り出しと対策などを柱に沖縄県や石垣市、竹富町、沖縄森林管理署、西表森林生態保全センターなどの関係機関と連携したカンムリワシ保護の推進につなげる。普及啓発や傷病個体の救護も継続していく。
方針では、保護上の課題として生息環境の悪化と交通事故の二つを挙げた。
生息環境については生息に重要な森林や隣接する湿地、草地などでの大規模な改変などが生息地としての機能低下につながると指摘。さらに特定外来生物のオオヒキガエルやインドクジャク、コウライキジ、ノネコなどがカンムリワシの餌となる両生類や爬虫類、昆虫類などを捕食することから、餌資源の減少によって発生する外来種との競合を懸念する。
交通事故については、2022年3月に石垣島で史上初となる「非常事態宣言」が環境省や県、市により発出されたが、その後も立て続けに起きたことからカンムリワシの救護体制が逼迫する事態に陥った。近年の年間平均では石垣島で7・4件、西表島で4・1件の交通事故が発生している。
カンムリワシの推定生息個体数は、この10年で見ると大きな変化は認められないが、多くの若鳥や幼鳥が事故に遭っていることから個体群内での年齢構成のかく乱や頻繁な縄張り構造の変化、つがい相手の損失に伴う繁殖率の低下の可能性が指摘されており、カンムリワシ個体群に大きな影響を及ぼしていることを危惧している。
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