ヤシガニ、大型個体減 石垣市内保護区
石垣市ヤシガニ保護条例に基づき捕獲を禁止している石垣島北部の保護区で2021年度に生息状況調査を行ったところ、生息数の減少は確認されなかったものの胸長40㍉以上の大型個体の確認が少なく小型化していることが明らかになった。調査受託業者は密漁の恐れを指摘する一方、相当数が生息していることから今後の保全措置を提言している。
同調査は2014年6月の条例施行前の13年度に行われて以来。繁殖期に当たる昨年7月12日と13日、非繁殖期のことし1月31日、2月1日に保護区と周辺域で行われた。あらかじめ決められたルートで動植物の出現数などを夜間に調査、確認した個体を一時捕獲し、個体数・確認位置・サイズなどを記録した。日中にも誘因餌を複数地点に設置して個体の確認に努めた。
調査期間中に計180個体(オス109個体、メス69個体、不明2個体)に標識を付けた。条例施行前調査の確認数は124個体だったため、相当数の生息が確認されたが、180個体のうち胸長が20~39・9㍉の個体が多かった。保護区外で9―11月に捕獲可能なオスの胸長40㍉以上55㍉未満は10個体と少なかった。
受託業者の㈱南西環境研究所は、保全措置を継続して行えば大型個体が増えていくものと推測されるとして▽ヤシガニ保全の普及啓発▽保護条例と保護区の周知徹底▽密漁の監視、生息状況のモニタリング▽流通状況の把握―を提言した。市はこれを踏まえ保全策を検討、実施していく。
条例によると保護区内は通年で捕獲が禁止されている。保護区外の市内全域でも12月から8月までは捕獲禁止、9月から11月の間は胸長40㍉以上~55㍉未満のみ解禁される。条例違反には10万円以下の罰金に科せられている。保護区と条例の内容を説明する看板がことし3月、北部4カ所に設置された。
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