希少動植物守れ 密猟対策会議で意見交換
希少な野生動植物の違法採集や島外への持ち出しを防ぐため、関係機関の情報共有や意見交換を目的とした「八重山地域における希少な野生動植物の密猟・密輸対策連絡会議」が20日、大濱信泉記念館とオンラインで開催された。会議には環境省や県市町、八重山署、石垣海上保安部、航空会社、運輸事業者などが出席。合同パトロールなど次年度の取り組みが話し合われたほか、県内の密猟や密輸事件の発生・検挙状況が報告された。一部を除き非公開で行われた。
取り組み実施報告では、石垣、西表の両自然保護官事務所が石垣島、西表島、与那国島で実施した希少種などの密猟を対象とした八重山署との合同パトロール業務を報告。このうち西表島では、ヤエヤママルバネクワガタやチャイロマルバネクワガタの発生時期に合わせたパトロールを実施。採集者に過剰採集の自粛を呼びかけたことなどが紹介された。採集者への聞き取り調査では「来年度、特定自然観光資源の運用開始前に採集しておく」と答えた人もいたという。
県内の密猟・密輸事件の発生状況については、今年3月に石垣市内で特定外来生物のオオヒキガエルを許可なく飼育しているとして県内で初めての外来生物法違反の摘発があったことが説明された。八重山署によると同時に所持していた種の保存法の緊急指定種・リュウジンオオムカデ、県や市の条例で規制がかかるヤエヤマイシガメ、動物愛護管理法で特定動物に指定されるサキシマハブの3種についても検挙された。
南西諸島に生息する規制対象種や類似種など204種をカバーする希少種判定アプリ「TRSSNA‼」は、今年の夏から石垣空港で日本トランスオーシャン航空が旅客と貨物で試験運用をスタート。航空会社は「大変有用だ」と報告。今月からは全日本空輸でも実施する。
会議後は崎枝屋良部林道に移動。ヤエヤママルバネクワガタ発生木の密猟痕跡と見られる現場の確認や覆面パトカーなどによるパトロールが行われた。
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