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「パヤオナビ」更新検討へ 肉用牛輸出、処理施設改修必要

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日米実動訓練や経済安全保障について考えを述べる中山義隆市長=11日午前、石垣市議会議場

市議会一般質問

 9月定例石垣市議会(我喜屋隆次議長)の一般質問が11日、始まり、長浜信夫、仲嶺忠師、平良秀之、後上里厚司、井上美智子の5氏が登壇した。市当局は、八重山漁協が活用している浮き漁礁(パヤオ)にGPS機能を搭載した「パヤオナビ」6基のうち3基が故障しているため、機器の更新費用を「早期に検討していきたい」と意向を示した。仲嶺氏が質問。肉用牛の海外輸出について後上里氏がただし、当局は食肉処理施設改修の必要性を挙げた。

 2021年から運用を開始したパヤオナビは、GPS位置情報によってパヤオの探索を容易にしている。パヤオが座標で判明するため、燃料費削減、漁労時間の短縮にもつながっている。

 仲嶺氏によると、現在の機器は実用試験時のものを据え置きで使用。3基が故障しているという。

 棚原長三農林水産振興部長は機器の更新へ「新たに設置できないか、国や県に相談したい。漁業者の支援へ、市ふるさと納税の活用も検討し早急に進めたい」と答弁した。

 市は、石垣島の和牛輸出の活路として台湾、シンガポール、香港、欧米への販路拡大を目指している。

 後上里氏の質問に本原弘也畜産課長は「台湾向け輸出は生産農家、食肉処理事業者から要望が多い。実現すれば、出荷額の増加が期待できる。一方で輸出認定には施設改修に取り組む必要がある」と条件を挙げた。

 井上氏は、石垣市におけるマイナンバーカードについて質問。

 市当局によると、8月31日時点で申請80・37%、交付率69・08%。9月7日時点、カードの取り置き枚数は667枚。交付後の返納は5枚、返納理由は「必要性を感じない」「カードの使用に不信感がある」。廃棄は415枚、廃棄分には市外への転出者、交付期限までに死亡した者も含まれている。

 カード受け取りは期間は、市の交付通知書発送から原則90日間。市内で、マイナンバーカードのトラブルは確認されていないという。

 平良氏は、川平コミュニティ施設(仮称)の運営開始時期を確認。建設部は立ち退き補償を含め、入居予定の事業者と合意形成に向け調整を重ねていることを強調。一方、すぐにでも入居したい事業者もいることから、運道徹建設部長は全ての対象事業者に対して「同意を年内に取り付けたい」と早期運営開始を目指す方針を示した。

 近年の農業資材、原料等の高騰に伴い、稲作農家の支援策を求めた長浜氏に対し、棚原部長は、学校給食提供などによる消費拡大、

粗飼料米「稲WCS(ホールクロップサイレージ)」を説明。WCSは稲の穂と茎葉を同時に収穫し、牛の飼料用に乳酸発酵させて加工する。粗飼料米は高単価のため農家の所得向上、農耕連携促進にも期待が寄せられている。現在、市内5戸の農家が生産している。

 

■空港・港湾利用、自粛求めず 10月の日米実動訓練で市長

 陸上自衛隊と米海兵隊による日米実動訓練(レゾリュート・ドラゴン23)が10月14~31日の期間に計画されていることを巡り、11日の9月定例石垣市議会一般質問で、石垣市として空港・港湾の利用を控えるよう求めるか問われた中山義隆市長は「(使用は)日米地位協定の第5条で認められているので、自粛を求めても、状況が何ら変わるものではないと認識している」と述べた。長浜信夫氏が質問した。

 同訓練は、陸自と米海兵部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する際の相互連携要領を実行動により演練するもの。日米連携、共同対処能力の向上を図る目的がある。

 陸自石垣駐屯地や陸自オスプレイが傷病者搬送訓練で石垣空港を使用すると一部報道があることから、長浜氏は「訓練は石垣島でも行われるようだが、中山市長の対応をうかがいたい」とただした。

 中山市長は「詳細を全て把握していないので、石垣市の判断としては答えられない」とした。

 オスプレイ使用となった場合、市内学校の上空を飛行する恐れを指摘。中山市長は「(訓練の)詳細を見た後で、学校の授業等に支障があるようであれば申し入れはしていきたい」と返した。

 また、長浜氏は「台湾有事ばかり話が先行している」と指摘。日本にとって中国が「経済の依存度が大きい」として、経済安全保障の観点から中国との摩擦を懸念。

 中山市長は、福島第一原発の処理水海洋放出に伴い、中国が日本産の水産物輸入を全面的に停止し漁業者が困窮している現状や中国による台湾産パインの禁輸で、日本の商社などが台湾産パインを日本向けに調達する動きを例示し、「一国だけでなく多方面で輸出や輸入に関わった方がいいと考える」と述べた。さらに、石垣市として石垣牛のマカオ、タイへ販路を拡大していることや、観光の内需を高めることも経済の安全保障につながるとの認識を示した。

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