北朝鮮「衛星」発射失敗 県内全域にJアラート
北朝鮮の朝鮮中央通信は5月31日、国家宇宙開発局が同日午前6時27分(日本時間同)ごろに北西部・東倉里の「西海衛星発射場」から軍事偵察衛星「万里鏡1号」を新型ロケット「千里馬1型」で打ち上げたと伝えた。エンジン異常により黄海に墜落したと失敗を認め、「できるだけ早期に2回目の発射を断行する」と表明した。
日本政府は、北朝鮮が「弾道ミサイルの可能性のあるもの」を南方向に発射し、7分後に消失したと発表した。全国瞬時警報システム(Jアラート)で沖縄県に避難を呼び掛けた後、日本上空には飛来しないと判断し解除した。排他的経済水域(EEZ)への飛来も確認されていない。
防衛省は万が一の落下物に備え、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の運用部隊を那覇市、石垣島、宮古島、与那国島に配備していたが、石垣島では台風2号の影響で南ぬ浜町に展開せず、陸上自衛隊石垣駐屯地で待機したままだった。
同省は5月30日午前8時半、石垣市など展開先の管理者から使用許可を取得。その際、市は南ぬ浜町に通じるサザンゲートブリッジが25㍍以上の風速か暴風警報発令のいずれかで封鎖されると伝えていた。
中山義隆市長は同日午後の定例記者懇談会で「台風が来たから展開できませんというのであればPAC3配備の意味がない」として発射予告開始前の展開を要望していた。
中山市長は31日、Jアラート解除後、「25㍍以上吹いたら閉鎖されるのでどう対応するか確認しているところだったが、PAC3が展開していない中で発射された。これについては防衛省がイージス艦を含めて適切に対応したと思う」との認識を示す一方、「防衛省から報告を受けながら、同じようなことがあった場合にどう対応するか検討したい。2番目の候補地も検討する必要があると思う」と記者団に語った。
防衛省・統合幕僚監部広報は、沖縄でのPAC3の配備期間について自衛隊法に基づく破壊措置命令が解除されるまでとしており、北朝鮮が日本政府に通報した5月31日午前0時から11日午前0時までの間は配備を続ける見通しだ。
政府によると、打ち上げは同日午前6時28分(日本時間)ごろ。南方向に発射されたが、同6時35分ごろ、黄海上空で消失したと推定される。政府は同6時半ごろ、「弾道ミサイルの可能性があるもの」が発射されたと発表、Jアラートを発出して避難を呼びかけた。同午前7時4分ごろ、日本には飛来しないとみられると発表し、避難の呼びかけを解除した。
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