八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

与那国、畜産業に危機 農業改良調査研究で金城氏

2023年度農業改良普及活動発表会と調査研究大会が開かれ、関係者が成果を報告した=18日午後、八汐壮

2023年度農業改良普及活動発表会と調査研究大会が開かれ、関係者が成果を報告した=18日午後、八汐壮

与那国島の畜産の状況を報告する金城主任=18日午後、八汐壮

経営難で後継牛出荷も

 【那覇】2023年度農業改良普及活動発表会・調査研究大会(県主催)が18日、那覇市の八汐壮で開かれ、関係者が第一次産業の取り組み状況を発表した。八重山農林水産振興センター与那国駐在の金城幸作主任は与那国島の畜産事情を紹介、牛1頭当たりの生産費が本島より高く経営難から後継牛を出荷する農家の危機を伝えた。

 金城主任の調査は繁殖成績データで現状整理、畜産農家へのアンケート、集団討論の形式で課題を抽出した。アンケートは35農家のうち20農家から回答があった。自家保留牛が確保できない理由では、運転資金を確保するため後継牛を出荷している農家が63%で最多。施設の老朽化や規模不足は23%だった。

 発表によると与那国島での飼養頭数は、2002年に1460頭だったが、その後減少傾向を続け、22年に527頭まで減った。22年出荷成績のうち平均出荷日齢は県平均より18日長い301日。一方、平均出荷体重は243㌔で県平均より30㌔軽く、差が縮まらない傾向にある。取引価格も県平均比較で約10万円安い。

 子牛1頭を出荷するまでの飼料費は、本島の12万4945円と比べて1万5480円増の14万425円と試算した。輸送費が要因とし、島での粗飼料生産の向上が必須としている。また、自己保留数と自然死など淘汰数の割合はほぼ同数。母牛年齢構成は11産以上した母牛が全体の20%で最多で、高齢牛が多いことも課題とする。

 金城さんは▽運転資金確保▽後継牛の販売▽自家保留牛の減少▽母牛の高齢化の流れ―が飼養頭数減少につながると指摘。現状を「負のスパイラル」と表現し、改善の必要性を強調した。

 このほか八重山関係では改良普及課の舞木紀玲さんが「ゴーヤー産地の育成」、前田藍さんが「補助資料活用による肉用牛繁殖経営改善計画に対する農家理解促進と作成支援の効率化」と題して発表した。同発表会は地域農業の発展に資することなどを目的に毎年実施している。

  • タグ: 農業改良普及活動発表会・調査研究大会八重山農林水産振興センター与那国島の畜産
  • ※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

    ページ移動

    キーワード検索フォーム