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波照間、空路が再開 15年2カ月ぶり 第一航空が就航

就航した第一航空の航空機から降機する搭乗者ら。15年2カ月ぶりに波照間航空路線が再開した=22日午前10時10分ごろ、波照間空港

就航した第一航空の航空機から降機する搭乗者ら。15年2カ月ぶりに波照間航空路線が再開した=22日午前10時10分ごろ、波照間空港

路線再開を喜ぶ住民ら。その維持には課題も多い=22日、波照間空港

3月末まで町独自補助も

 【波照間】2008年11月から途絶えていた波照間航空路線が22日、再開した。第一航空㈱(本社・大阪府、西洞院満寿美社長)が石垣島を拠点に波照間と多良間の2路線の運航を開始、15年2カ月ぶりの路線再開に波照間島民は喜びに沸いた。

 運航機材は座席数19人乗りのバイキング式DHC6―400。波照間は滑走路が800㍍と短いため、最大乗客数13人に制限される。多良間は17人。それぞれ運航時間は石垣発午前9時半、波照間発同11時半、新石垣発午後2時、多良間発同3時45分。いずれも20~25分程度のフライトとなる。

 運航形態は月15往復未満の不定期航路。波照間は月・水・土の週3往復、多良間は月・土の週2往復を原則とし、予約がなければその日の運航は中止となり需要に合わせて再設定する。行事などに合わせた運航日の設定も可能となっている。

 運賃は島民限定の割引運賃が設定されている。これに加え竹富町が一般財源を活用して3月末まで片道2千円ずつ割り引くが、航空券を購入した領収書を役場に提出し還付を受ける手続きが必要となる。町は4月以降も補助を継続できるよう調整している。

 波照間行きの初便には西洞院社長や前泊正人竹富町長、県の関係者、一般客など13人が搭乗。新石垣を午前9時40分過ぎに離陸した後、竹富島、黒島、新城島周辺の上空を通過し、最高高度300㍍まで上昇した後、同10時5分ごろ波照間に到着した。

 機材がエプロンに駐機すると、島民たちから就航を祝う拍手が沸き起こった。初便で帰島した県立八重山病院付属波照間診療所の樋口友哉医師(29)は「歴史的瞬間に立ち会えた。足の悪い方やお年寄りも安心できるだろう」と喜んだ。

 同社は新石垣、波照間、多良間の3空港で就航記念セレモニーを開いた。

 波照間でのセレモニーで西洞院社長は「島民皆さまを大変お待たせしたが、就航出来てうれしい。安全運航で島民の生活路線として利便性を高められるよう、他の方々の協力を得ながら取り組みたい」と述べ、前泊町長は「波照間島の活性化へ安定的に事業が続くように関係機関と連携していきたい」とあいさつした。

 

■路線継続、補助金頼み 人材不足と観光誘客課題に

 波照間島民の移動の足として欠かせない航空路線は週3日、1日1往復で再出発した。赤字が予想されるため、一定の搭乗率を維持しなければならず、竹富町は観光客を呼び込むための方策を地域と協議しながら検討している。

 第一航空が既に運航している粟国―那覇路線は2022年度、約1億3千万円の赤字で、同社によると23年度も1億4千万円ほどになる見通し。赤字分は、県と粟国村が半分ずつ出し合って補填しており、運航継続は行政からの補助金が頼みの綱だ。

 県は24年度から補填割合を県3分の2、粟国3分の1にして町村分の負担軽減を図る計画。波照間(竹富町)と多良間村も同様に適用することにしている。

 ただ、波照間路線の赤字額は未知数。竹富町の小濵啓由政策推進課長は「採算ラインや赤字は運航しないと見えにくい」と指摘。安定的な搭乗者数を確保するには観光誘客が必要とみており、「キビ刈り体験や波照間独自の観光イベントで航空機の利用を高めたい」と話す。

 波照間公民館の仲底善章館長は「宿不足」を受け入れ側の課題に挙げる。航空路線が休止した2008年11月末時点の島の人口は569人、23年12月末は461人と約15年間で100人近く減少しており、「人材が不足している」と宿泊施設を増やせない難しさを語る。

 一方、第一航空はパイロットや業務員の不足を懸念材料に挙げ、担当者は「カバーしようにも限度がある」とこぼす。従業員の育成と拡充が課題となっている。

 西洞院満寿美社長は「交通インフラを整えて利便性を高め、島の活性化につなげたい。観光客を呼び込む形の構築、石垣や那覇空港への格納庫設置など課題は多い。皆さんの協力を得て路線を継続させたい」と話す。

 住民の移動の足以外に、観光客が搭乗し島を訪れたくなるような地域づくりが求められている。

  • タグ: 波照間航空路線第一航空
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