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秋になり、クマと人間の不幸な出会いが…

 秋になり、クマと人間の不幸な出会いが例年になく多い。環境省によると、これまでに180人が被害に遭い、5人が亡くなったという▼写真家で文筆家の星野道夫氏は1996年にロシアでヒグマに襲撃されて亡くなった。襲ったのは、地元テレビ局によって餌付けされ、人間の与える食糧の味を知っている個体だった▼氏はアラスカを舞台に活動していた。写真集や著書はほとんど読んだ。美しい写真とそこに広がる自然や住む人たちの生活を誠実な語り口調で描写した叙景は、何度読み返しても心を洗い流してくれる▼先日、「イントゥ・ザ・ワイルド」を自宅で視聴した。この映画も舞台はアラスカ。何度見ても、主人公のクリスが恵まれた生活を捨て、世の真理を求めるために出た旅は共感と憧れで心がざわつく▼物語は主人公の衰弱死で幕を閉じる。美しくも厳しい荒野で真の孤独を味わったクリスは最期に「幸せは分かち合ったときにだけ現実になる」と書き残した▼星野氏は著書で「子どものころに見た風景が、ずっと心の中に残ることがある。いつか大人になり、さまざまな人生の岐路に立った時、いつか見た風景に励まされたり、勇気を与えられたりすることがきっとある」と記す。子どもたちに訪れる時代を思うと、ふと頭に浮かぶ言葉だ。(立松聖久)

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