災害想定し防災訓練 自衛隊も患者搬送など参加
【与那国】与那国町主催の防災訓練が12日、4年ぶりに開催された。与那国島南方沖を震源に地震と津波が発生した想定で行われ、役場内に与那国町災害対策本部を設置したほか、浸水区域に関する説明会などで防災への意識高揚を図った。2023年度自衛隊統合演習の一環で与那国駐屯地、石垣駐屯地、那覇の陸自第15旅団から隊員計85人が患者輸送訓練や図上訓練などに参加、島しょ防衛を専門とする日本版海兵隊「水陸機動団(水機団)」によるヘリでの患者輸送は天候不順で中止した。
最大震度6強(マグニチュード9.0)を観測し、町内10カ所ある避難施設へ移動や食糧物資の輸送などを行う想定で実施。町内に設置された対策本部には、糸数健一町長ら町3役、同防災担当者、八重山署与那国駐在、陸上自衛隊与那国駐屯地などが集まり、被害状況の確認や対応を検討する図上訓練を行った。
午前11時30分過ぎからは、久部良のナーマ浜で与那国駐屯地の沿岸監視部隊隊員6人余りがボートに乗り込み、海上に漂流する負傷者を救助。自衛隊の救護車で与那国診療所に搬送し、応急処置後にヘリが飛ぶ予定だったイベント広場まで運んだ。
町内の浸水区域に関する説明会は、同日午前11時過ぎから与那国中学校体育館で行われ、町民約180人が参加した。最大震度6強の地震が発生した際の各集落の津波最短到達時間や浸水の深さを、町の防災担当者が地図で示しながら説明した。
説明会後には、久部良のナーマ浜などで行われている患者搬送訓練の映像をリアルタイムで視聴。自衛隊によるカレーの炊き出しもあり、参加者にふるまわれた。
このほか、前日の与那国島一周マラソンに引き続き石垣駐屯地隊員が応援で足湯を設営。イベント広場展示ブースでは、▽野外手術システム▽浄水セット▽人命救助システム―を搭載した、自衛隊装備品の車両展示も行われた。
糸数町長「自然災害は時を選ばない。今後もできるだけ多くの人に参加してもらい、災害時にどう対応するかを考えてほしい」と話した。
関連するニュース
- 関連するニュースはありません。