八重山毎日新聞社

　石垣島出身の祖母を持つ那覇市の石垣太陽さん（20）が、9月から台北商業大学に留学している（本紙4日付9面）。石垣さんははにかみながら、「自信を持てるようになった」と白い歯をのぞかせていた▼やみくもに海外へ出ればいいというのではない。環境にフィットできるかは状況次第という側面もある。石垣さんの場合は、日本人は一人だけというクラスのなかで同級生に支えられ、順調に留学生活を始めることができたということだ▼コロナ前は、台湾は手軽な旅先だった。工夫すれば、お買い得な航空券が手に入った。片道のチケットなら、1万円札1枚で十分なんてこともあった▼コロナを境に相場は変化した。今のところ、かつての水準まで値下がりする気配はみられない▼ただ、台湾は沖縄の隣にあるという関係は変わっていない。海外志向の石垣さんが台湾を選んだ決定打は「何かあったらすぐに戻れる」だった▼先日、台湾への語学留学を考えている20代の知人からメールで連絡が来た。要件は台湾で暮らす部屋探しのことだった。ビザがなくても台湾に滞在できる90日間をフルに活用してスキルアップを目指すのだそうだ▼自分に投資する場所としての台湾。新型コロナによる渡航制限が緩やかになり、再登板の場面が再来しているようだ。（松田良孝）