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「今晩が山であと2日でしょうね。会わせ…

 「今晩が山であと2日でしょうね。会わせたい人がいたら連絡を」自宅介護の義母を診た訪問診療医。そこで手分けして島内外に住む子や孫、親戚に連絡した。沖縄本島からはその日に本土在住の孫も翌日には駆けつけた▼その晩から大勢がベッド脇で雑魚寝、代わりばんこに義母の容体を見守ることにした。ところが、にわか大家族の気配が効いたのか義母の血色がよくなり脈拍以外は血圧、酸素も平常、顎呼吸も安定してきた。当番の呼びかけにも目を開けようとする▼耳は聞こえているようだ。そこで義母の十八番民謡のCDを繰り返すことに。程よい音量は当番の張った気を緩め居眠りを誘う。当初、CDに合わせて、民謡を歌っていた孫たちが早調子の曲で踊りだし、ばーちゃん聞いてる、見てねとつぎつぎ繰り出す▼娘たちの思い出話も出た。クリスマスのサンタの存在を固く信じ夢憧れていた多感な年頃。次女がもらったプレゼント袋にはお玉が入っていた。家事を手伝えというメッセージか▼年の離れた4女の枕元には父の字で「サンタクローのオジィーより」好きなものを買えというお金入り封筒。家中大笑い、ばーちゃんらしい▼6日目、孫たち、そろそろ帰ろうかな。その日の夕方義母は息を引き取った。自宅ならこんなみとりもできる。享年97歳。(仲間清隆)

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