危機的方言を次世代へ サミットで改善策など討論
【与那国】危機的な状況にある方言を次世代への継承を目指す「危機的な状況にある言語・方言サミット与那国島大会」(文化庁主催、沖縄県、与那国町など共催)が14、15日の2日間、久部良小学校体育館で開かれ、言葉の役割や価値について考え危機的な状況を改善する討論や協議を行った。国内には消滅危機にある言語・方言が八カ所余あり、与那国方言もその一つ。会場には延べ200人余の人たちが詰めかけた。
サミットはアイヌ語、八丈方言、奄美方言、国頭方言、沖縄方言、宮古方言、八重山方言、与那国方言の地域におかれた状況、普及に係る取り組み事例の紹介や聞き比べ、講演、協議などを通して問題意識を共有し状況の改善を図ることを目的としている。
糸数健一町長は「町民の意識は多様化している言葉は文化を支える財産、消滅すると多くの文化も失う方言復興の実現を願う」とあいさつ。言語・方言について遠くは北海道などから研究者らが集い、かつて地域の生活、文化を支えた方言の魅力を解説し紹介した。
祖納青年会ダーナラシ(座ならし)、棒踊りのほか民俗芸能伝承保存会の舞踊でオープニング。
信州大学の中澤光平氏が「どぅなんむぬい辞典から考えた言語継承と研究者の役割」で基調講演。国立国語研究所の山田真寛氏が危機方言の現況を報告した。
方言の聞き比べでは奄美大島など各地の話者が登壇し地元の言葉を紹介。初対面の際「始めまして」を「イランカラプテ」(アイヌ語)、「ハディミティドゥアンスヤ」(与那国祖納)、「ハディミティドゥワルンディサー」(同比川)、「ハディミティヤ」(同久部良)など場に応じた言い回しを披露。またアイヌの唄・語り、津軽の二人芝居、与那国の狂言劇を方言で演じた。フロアの各地のブースでは普及活動する方言パンフなどが並べられ会場は方言一色に包まれた。
共催の与那国方言辞典編集委員会事務局は「予想を上回る来場者に各島々との縁ができた方言の継承に弾みがつく」と期待した。
会場を訪れた男性は「方言の衰退はさびしい。文化の多様性を考えるきっかけにしたい」と腕を組んだ。(田頭政英通信員)
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