空輸のみ 1日で福岡へ 町、変更し住民に説明
- 2023年10月03日
- 政治・行政
【与那国】与那国町は1日夕、国民保護計画に基づく武力攻撃予測事態を想定した住民避難についての意見交換会を久部良多目的集会施設で行った。昨年度の要領では空路と海路の2パターンあったが、今年度は空路のみでJTAが就航する福岡空港へ避難する計画となっていることなどが示された。要介護者の移動方法や、家畜・ペットの取り扱いに関する保障などについても新たに説明があった。
避難要領パターンと今後の方向性について概要を把握してもらい、町民から広く意見を聴取することで、より実効性のある避難実施要領の作成に役立てることが目的。
町によると今年度の避難計画では、与那国空港で運航可能な最大機のボーイング738(定員165人)6機を確保し、与那国空港から福岡空港まで1日11便の運航により、1日で全島民を避難させる試算。
祖納集落の495世帯925人、久部良集落の397世帯659人、比川集落の77世帯126人はそれぞれ、島内の民間バスや町保有のバスに乗って空港へ移動する。
島内の介護老人福祉施設「月桃の里」の入所者など要介護者に関しては、ストレッチャーや車いすなどでも移動できるよう海上保安庁や医療機関のドクターヘリの要請を検討中。人工透析患者についても県と調整を進めているという。
今年度は、新たに家畜やペットに関する扱いについての説明もあり、現段階では住民避難後の家畜の扱いとして▽作業員の派遣▽輸送手段の確保▽家畜受け入れ先の確保―などの必要な支援を検討しているとした。また、避難を最優先にしつつ、放れ畜防止のための農家への周知徹底も行うとしている。
ペットに関しては、自然災害の場合は環境省が「同行避難」を基本的な考え方としているとしつつ、「町の国民保護計画ではペット避難についての記載はなく、航空機では同行避難が不可能」と現状では同行避難は難しいとした。
質疑応答で、町民から「避難したくない人がいた場合はどう対応するか」を問われたのに対し、町の担当者は「強制ではないが、理解を得られるように努力するのが町としても県としても基本的な考え方」と述べた。
国民保護の基本的な枠組みとして、▽国は、要避難地域や避難先地域の指示▽都道府県は、避難の指示や輸送手段の確保、避難先県との調整▽市町村は、避難実施要領の作成と住民の避難誘導―を行う前提になっている。
町は、9月11日と28日に祖納地区でも同様の説明会を実施した。今月9日には比川地区でも行う予定。
町は意見交換会を踏まえ、11月までに今年度の避難要領の概要をまとめる考え。国や県と調整した上で、来年1月頃に開催予定の図上訓練につなげる方針。
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