八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

「サルビルサ」(スズキコージ作)という…

 「サルビルサ」(スズキコージ作)という絵本を図書館で借りた。東京都多摩市の多摩市平和展で、都立永山高校(平栁伸幸校長)の図書委員が絵本を朗読するコーナーを取材し、この作品を知った▼同展は「子どもたち」に焦点を当てることが主眼(25日付本紙9面)。そのため、高校生が参加したが、当の高校生たちは、自分たちよりも若い人たちに伝えようと取り組んできたという▼「サルビルサ」は、3年生の進藤佑基さん(18)が読んだ。正反対の言葉をしゃべる二つのグループの争いを描いたストーリー。濃密で力強いタッチが印象的で、夢に出てきそうにさえ思える▼図書委員会を担当する西部葉月司書教諭によると、発表した生徒たちは、人前で何かをするというシチュエーションに慣れているわけではない。進藤さんも「こんなに大勢の人の前で発表するのは初めて。すごく緊張した」と語っていた▼だが、ためらうかのように朗読に空白を挟み、会場の集中力を高める所作は見事だった。フロアから注視する40人余りの人たちとの間で共鳴し合っていたことは、終了後の拍手が証明していた▼朗読は平和に関する作品を選んで行われた。自らの感性でダイレクトに伝える姿に、声を大きくすることで言葉を届けるのとはまた別の形を見た。(松田良孝)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

関連するニュース

  • 関連するニュースはありません。

ページ移動

キーワード検索フォーム