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私権制限 住民ら懸念 郡内13カ所に指定区域

「国民主権が後回しに」「なし崩し範囲広がる」 土地規制法運用開始

 自衛隊基地周辺や国境離島などの安全保障上重要な土地の利用を規制する土地規制法(重要地土地等調査法)の運用が15日から郡内13カ所で始まり、与那国町のほぼ全域や石垣市の石垣駐屯地周辺を含む5カ所、竹富町鳩間島や西表島の一部などが特別注視区域や注視区域に指定された。指定区域周辺に住む住民からは「住民主権が後回しになる」、「なし崩し的に(規制範囲が)広がるのでは」などと不安や懸念の声が上がってきている。

 住民が住む区域のほぼ全域が規制地域となっている与那国町の50代男性は「大義では、国境地帯だからむやみに海外の人に土地の利用をさせてはいけないということだと思うけど、僕らが心配しているのは与那国町民の自由にならないエリアが増えて、住民主権が後回しになっていくこと。国防に関することだから仕方ないと国民主権も住民主権も後回しにされるのは、民主主義国家の在り方なのかと疑問を抱く。戦後生まれだけど、戦争に入っていく雰囲気ってこんな風だったのかなと思ってしまう」と肩を落とす。

 自宅が特別注視区域に入っていたという70代男性は「変な線引きだし、意図的なものも入っているのではないかと感じてしまう。最初は経済効果と言っていたが、いつの間にかどんどん膨らんでいって、今度は規制法。いったん基地ができたことで、いろんなことに派生していると感じている」と危機感を抱く。

 石垣市の70代女性は「なし崩し的に指定地域を増やしていくことになれば、市民生活への影響も出てくる。(勧告や命令、国による土地の買い取りの対象となる)阻害行為の規定がないまま、法律そのものが制定されていることに対してそもそも不信感があるし、廃止してほしいと思う」と怒りをあらわにした。

 一方で、全島が注視区域となっている竹富町鳩間島からは肯定的な声も。鳩間島の70代男性は「以前、島でリゾートホテル建設計画が持ち上がり、港で抗議運動をしたこともある。知らない企業に土地がわたって開発がされないためにも『島を守る』という意味で必要な制度だろう」と理解を示し、「個人情報は国がしっかり管理してくれるので特段に大きな心配はない」との考えを示した。

  • タグ: 土地規制法
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