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「これ食べるか?」。復帰前、昭和期の…

 「これ食べるか?」。復帰前、昭和期の台風後の風景である。今どきのようにスーパーやコンビニ、便利なものなど何一つ存在しなかったころ。ただでさえ野菜不足の夏場、親たちはどのようにしのいできたか▼相互扶助精神が生きていた。「台風の風でパパヤが折れてよ。うちで食べきれんから」と、いただくほうの負担にならない配慮があった。お返しではないがバナナをお持ち帰りいただいた▼井戸端にはいつも生えているうんつぁい、今でいう空心菜があり、農家の家の床下には冬瓜が積んであった。家庭菜園には暴風に打たれた野菜もあり、なんとかしのぐことができた。毎日うんつぁい続きには閉口したが▼あれから半世紀、風景のなんと様変わりしたことか。日頃店頭にふんだんに並んでいる食料品が消えた。野菜など何一つ残らなかった▼思えば「台風イコール品薄」はアパートが続々と建った平成中期の「ミニバブル期」に始まったように思う。当初はラーメン程度だった。それが牛乳や納豆、嗜好(しこう)品と次々拡大していったのが今日▼石垣市が災害に備え、食糧備蓄を推奨している。日頃の備え、正しい方向だろう。だが、備蓄する余裕のない生活困窮者への目配りが行き届くか不安も残る。節度ある備蓄と資源循環。そんな優しい社会でありたい。(慶田盛伸

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