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「兄さん、兄さん」。取材先に向かっている…

 「兄さん、兄さん」。取材先に向かっている際、自動販売機のそばに座っている中年男性から声をかけられた▼「たばこない?」「ライターない?」「お金ない?」を予想して軽く立ち止まった。お金を無心されたら即断ろうと思っていたが、「兄さん、どんなしたら死ねるかな。死にたいさ」。そう切り出された。ドキッとした▼「いやー死んだら…」と二の句が継げず、「ダメちがう」と加えた。こんなとき、どう対応すべきか。頭の中がフル回転する。確か即否定はダメだったような気がする▼「なんで、何か楽しみがないわけ」と聞いてみた。「兄さんはある?」と返され、日々の楽しみを少しだけ話した。一方、男性の話しぶりからは、孤立しているような印象を受けた▼もう取材の時刻。「仕事があるから」と言ってその場を後にした。約30分余りの取材を終えて戻ってみたが、その男性はもういなかった▼県が出しているパンフレット「地域のきずなで守ろう尊いいのち」によると、自殺を考えている人は悩みを抱え込みながらもサインを発している。その男性もそうだったのかもしれない。周囲がサインに気づき、予防につなげていくことが課題になっているようだ。男性も、このサインから専門の相談窓口につながることを願わずにはおれない。(比嘉盛友)

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