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築110年の古民家の解体工事が市内平得の

 築110年の古民家の解体工事が市内平得の現場で始まった(24日付本紙)。4月に発足した全国古民家再生協会沖縄第2支部の初仕事だ▼工事は味間剛支部長が指揮を執り、宮大工の宮良善嘉さんが沖縄に伝わる伝統工法を伝授する。倍以上も歳が違う2人がコンビを組んで、古民家の移築再生を通した地域振興に挑戦する▼1世紀以上の歳月を経ても八重山の銘木に傷みは見られない。家が建てられた「大正二年」という文字が書かれた梁(はり)には、釿(ちょうな)で削った跡が残る。真っ黒なのは長年、かまどの煙でいぶされてきたからだろうか。ヴィンテージな木の表情が歴史を感じさせる▼古民家を「歴史を伝える地域の重要な資源」と位置づける味間支部長は支部発足時、取り組みに対する熱い思いを語ってくれた。全国からの反響もあり、カフェや宿泊施設に使えないかという問い合わせもあったという▼豊富な木組みの知識と長年かけて培った高い技術力で支部長の思いを現実のものに導くキーマンは宮良さんだ。10年前の桃林寺の修復、5年前には真乙姥嶽の拝殿を建て替えた。その腕前は衰えることを知らない▼古い建物を再生し、沖縄らしい景観が維持され、地域経済も循環する。成長社会から成熟社会への転換期。新たな価値観の模索の始まりだ。(立松聖久)

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