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琉歌に「いかなせわ事も飲めば忘れゆい 酌み…

 琉歌に「いかなせわ事も飲めば忘れゆい 酌み交わす酒ど いのちさらめ」(どれほどの心配事があろうとも飲めば忘れてしまう 友と交わす酒こそ大切なものである)とある。やがて迎える師走に、そんな思いの方もあろうが、今年のせわ事は尋常ではない▼昨年の今頃、島々には自衛隊員の戦闘服姿はなかった。迷彩の自衛隊車両が隊列を組み市中走行する風景も。今春の陸上自衛隊石垣島駐屯地の開設後、ああすればこうなると想定できたとはいえ、その変化のありようにがくぜんとする▼軍拡はわずか半年の間にどんどん進んだ。やらないはずの日米共同訓練で米軍が石垣・与那国島に入り、陸自オスプレイが石垣空港に降り立った。島の戦場化想定が目に見えた▼北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備えて航空自衛隊の迎撃ミサイル・PAC3部隊が配備され、半年を越えるほぼ常駐状態に。今後の継続配備を要望する声も出てくるかもしれない。「新しい戦前」はすぐそこにある▼先島の住民、観光客12万人は有事に九州避難の計画だが、疑問や不安は尽きず、島々と子や孫らの未来を思えばせわ事。黙していられるか▼せわ事のただならぬ多さは、島々の歴史にきっと特筆大書されるだろう。めぐる思いは「澱(おり)」のように、酌み交わせども消えないせわ事である。(慶田盛伸)

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