八重山毎日新聞社

　15年前に買ったタンブラーを愛用している。コーヒーショップで原稿を書くときに決まって持っていく。切り絵風のカラフルなデザインにショップの店員が目を留めることもあり、ちょっと得意になる▼先月、西表島を訪問した時には常用のマイボトルを持参した。案内の知人は、それならばと、「マイボトルで水おかわり！西表島」（ＭＭＯ）の活動に取り組む民宿へ連れていってくれた▼お話をうかがうと、ＭＭＯの普及は簡単ではないそうだ。水をもらうためだけに立ち寄ることに気が引ける、代わりに何か買わなければならないのではないかという心理が働くという。知らない人に声を掛けることをためらうという人もいるとか▼どちらも分かる気がする。筆者にしても、マイボトルやマイタンブラーが普及した台湾社会を体験していなければ、すんなりとＭＭＯのお世話になれたかあやしい▼竹富島に住む知人に尋ねると、小さな集まりの場では「マイボトルが浸透しつつある」とのことだった。他方、ペットボトル入りの飲料は、観光客のニーズがあるほか、熱中症対策の側面もある▼ローマは一日にしてならず、なのか。ＭＭＯをテコに、「エシカル消費（倫理的消費）」や「サスティナビリティ（持続可能性）」が島々にじんわりと根付けばと思う。（松田良孝）