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「お年寄りが1人亡くなれば、図書館が一つ…

 「お年寄りが1人亡くなれば、図書館が一つなくなる」ということわざがアフリカにあるという。島々でも「老人 宝」(ういぴとぅたから)と言い習わし、敬った(八重山ことわざ辞典 宮城信勇著)▼島々の文化の根幹をなす島言葉をはじめ、伝統祭祀(さいし)の継承にかかわる努力と情熱。それぞれの島や地域の成り立ち、歴史や文化、自然の摂理への造詣など「大きな物語」を語るには高齢者こそふさわしい▼暮らしの道具をつくる技術。産業振興や島の興隆へのたゆまぬ尽力、そして家族をはぐくみ、ひたすら幸せを願ってきたその歩み。それだけで感謝に余りある▼はるか昭和。お年寄りはもっと数多くまちの中にいた。子どもたちをつかまえては、「まりしどぅさばぐ」を実践し、世間との関わりを楽しんでいたように思う▼ただ物知りだけに、さまざまな記憶もたくさん持っていらっしゃる。例えば「誰それと誰それは昔…」とか「○○は本当は…」などの穏やかでない情報である。そこは世間や人間関係をざわつかせない知恵で配慮できるのも高齢者▼「母の日」や「父の日」が海外発祥なのに比べ「敬老の日」は日本発祥。お年寄りが満たされて暮らせる幸せな国や地域をつくれば、若者たちも安心して子を産み、育てる島々になっていく。かくありたい。(慶田盛伸)

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