通信圏外地帯で生物調査 国内初、人工衛星を活用
【西表】沖縄セルラー電話㈱(菅隆志代表取締役社長・那覇市)は7、8日、西表島浦内川で人工衛星による通信ネットワーク「スターリンク」を活用した生物調査を国内で初めて実施した。これまで調査が進んでいなかった「電波不感地帯」でインターネット回線を構築し、スマホアプリ「バイオーム」を用いて動植物のデータを収集した。
同社が取り組む「おきなわ自然保護プロジェクト」の第3弾。同社はこれまでやんばる地域の森にIoT機器付きカメラを設置し、画像のAI解析を通して動物の分布データを収集してきたが、通信が不安定なエリアでは生物多様性保全に必要な外来種等のデータ把握が十分に進んでいないという課題があった。
今回は8月から沖縄でサービスが始まった「スターリンク」(スペースX開発)を活用。調査は浦内川の船着き場から船で約15分の場所にある電波不感地帯の浦内川自然研究路周辺で実施した。川の岩場にアンテナを設置し、通信衛星からの電波を受信。接続したルーターを使い約100㍍範囲のWi―Fiエリアを構築した。
調査には同社のほかKDDI㈱、㈱バイオームの社員ら約20人が参加し、動植物をスマートフォンで撮影。いきものコレクションアプリ「バイオーム」に投稿すると、最新AIによって種類が判定され、位置情報や時間なども記録された。
収集したデータや調査結果は県や竹富町、環境省などに報告する。3社は今後も県の外来種の分布状況を把握し、県の生物多様性保全に貢献していく考え。
沖縄セルラーの菅社長は「生物多様性や豊かな自然環境を後世に伝えることは沖縄の企業としての責務。通信技術を活用したデータ蓄積で環境保全につなげていけたら」と語った。
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