八重山毎日新聞社

　石垣市は個人情報漏えいの対策として「個人情報を含む文書についてはファクスを使用せず、パスワード付きメールや郵送での手続きを検討したい」と答弁した。（本紙2日付）▼これを聞いて「ＰＰＡＰ」の採用を検討しているのかと不安になった。ＰＰＡＰと言っても2016年ごろ世界を席巻したピコ太郎さんの「ペンパイナッポーアッポーペン」ではない▼「メールでパスワード付きの圧縮ファイルを送り、あとで別メールでパスワードを送る」といったファイル共有方法は「ＰＰＡＰ」と呼ばれるが、この方法は問題点が多く、国は20年11月、危険性を鑑みて利用廃止を発表した▼ピコ太郎さんのＰＰＡＰは、計算された「まぬけなテンポ」や「中毒性の高いフレーズ」でＹｏｕＴｕｂｅの週間再生回数で世界一を獲得した。一方、メールのＰＰＡＰは対策している雰囲気を出すだけの「劇場型セキュリティー」とやゆされる▼近年、国にはデジタル庁が設置され、各自治体にはＤＸ課が設置されるなどＩＴ技術を推進する動きが加速している。人工知能の急速な発展もあり、今後ますます活用の幅が広がるだろう▼便利なＩＴ技術も使い方を誤ればもろ刃の剣。大規模な情報漏えいにもつながりかねない。自治体、企業とも個人情報を扱うための技術者、人材の育成が必要だ。（立松聖久）