八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

バナナや茶の産地として知られる台湾・南投県

 バナナや茶の産地として知られる台湾・南投県は、八重山と縁がある。戦時中、県庁所在地の南投市には先島など沖縄からの疎開者が身を寄せていたのだ▼現地に保管されている記録によると、疎開した八重山の女性3人が1945年4~5月、相次いで出産した。異文化の中で赤ちゃんを産むのは大変なことだっただろう。疎開者のなかに産婆(当時は助産師のことをこう呼んだ)の心得がある人がいたというから、心強かったに違いない▼疎開地で生まれた赤ちゃん3人のうち、1人は終戦後、南投で亡くなった。生きていれば、今月で78歳になっていたはずだ。地元の人たちの話では、疎開者たちは衛生状態が良くないなかで暮らしていたという▼当時、石垣島で発行されていた新聞「海南時報」には、疎開先での生活に支障がないよう支援がなされるという趣旨の記事が載っている。南投に疎開したことのある女性はかつて「疎開する時、かつお節と小豆を持っていたが、イモに交換して食べた。持っていった着物は上等なものだったが、これも食べ物に交換した」と語っていた▼死者が出ると、最初のころは火葬していた。しかし、あとは、むしろに包んで河原に埋めたそうだ▼南投へは、台北から直行バスで3時間余り。訪れるたびごとに遠いと感じる。(松田良孝)

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

関連するニュース

  • 関連するニュースはありません。

ページ移動

キーワード検索フォーム