八重山諸島のニュース・石垣島・竹富島・西表島・新城島・小浜島・鳩間島・黒島・波照間島・与那国島

エントリー

「まぁじゅん」が県内初認定 アニマルウェルエア飼育農場

牧場で伸び伸びと過ごすジャージー牛=20日午前、石垣市崎枝

牧場で伸び伸びと過ごすジャージー牛=20日午前、石垣市崎枝

「アニマルウェルエア飼育農場」の認定証を手にする田中英信代表=20日午前、まぁじゅんのジャージー牧場

健康な家畜生産、牧場にも工夫 「高福祉品質」の付加価値

 家畜を満足度の高い生活状態で飼育する生産システムを確立している「アニマルウェルエア飼育農場」に、農業生法産人㈱まぁじゅんのジャージー牧場(田中英信代表)=石垣市崎枝=がこのほど認定された。アニマルウェルフェア・フードコミュニティ・ジャパン(AWFC)が認定するもので全国で11番目、沖縄県内では初めてとなる。

 AWFCのホームページによると、アニマルウェルフェア(AW)は人も動物も満たされて生きるという概念。欧米などの畜産先進国は、家畜の行動の自由を閉じ込めて生産性と効率性の向上を目的としてきた工場的な畜産からAW畜産への転換を進めており、日本国内ではAWFCが推進している。

 AWFCは、世界の家畜福祉の原則となっている「飢えと渇きからの自由」「不快からの自由」「痛み、傷、病気からの自由」「正常行動発現の自由」「恐怖や悲しみからの自由」の5つの自由の実現を畜産経営の基本とする。AW畜産で健康な家畜から生産される食品は「高福祉品質」という付加価値を持つことから、畜産食品市場への普及も図っている。

 田中代表(56)は2005年、「健康に牛を飼いたい」と自分の目が行き届く範囲で畜産を開始。開南でジャージー牛を飼育していたが、16年に崎枝で現牧場を開設。借地を含め計6㌶で田中代表を含む計5人が雌牛24頭、子牛6頭の計30頭の世話をする。

 ジャージー牛は乳質の良さが特徴。乳量がホルスタインに比べて半分しかないため、ヨーグルトやチーズなどに加工して販売することで付加価値を高めている。

 粗飼料は100%自社生産。現在、1㌶でデントコーンを栽培しており、将来的には穀物飼料も完全自給を目指す。さらに地元で購入可能な「米ぬか」「糖蜜」を活用、乳酸菌をたねに発酵飼料にしている。

 牧場にも工夫を凝らす。足腰の強い牛を育てるため急峻な斜面を活用した放牧にした。長い夏を乗り切る対策として牛舎に木材を使用した上、吹き抜けの屋根を作り、天井は熱を遮断する材質にした。海風を取り込めるよう壁をなくし、天井の大型扇風機とスプリンクラーを回し続け、ストレスなく過ごせるようにしている。

 おととしからAWFCに働きかけ、数多くの書類審査や牧場説明会(オンライン)などを経てことし4月末で認定を受けた。5つの自由の原則に基づく現況の取り組みを3カ年かけてさらに進化させていく。

 田中代表は「動物の幸せが僕らの幸せにつながると思っている。健康で伸び伸びと生活している牛からできる商品を消費者に届け、喜んでもらい、そして感動してもらえるとうれしい。牧場の良さを知ってもらいたいので将来的にはカフェなど楽しい空間もつくりたい」と話している。

  • タグ: まぁじゅんアニマルウェルエア飼育農場
  • ※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対して株式会社八重山毎日新聞は一切の責任を負いません。

    関連するニュース

    • 関連するニュースはありません。

    ページ移動

    キーワード検索フォーム