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さまざまな場面で活躍してくれる抗生物質。

 さまざまな場面で活躍してくれる抗生物質。先日も子どもが病院にかかり処方された。一方で、誤用や過剰など不適切な使用により、抗生物質の効かない「スーパー耐性菌」の発生が近年、深刻化しているという▼この問題を解決する光明ともなりうる研究成果が、コスタリカの研究チームから発表された。学術誌に掲載された論文によると、その救世主は森に住むのんびりものの「ナマケモノ」だ▼ナマケモノの毛皮には、抗生物質を生産する菌が潜んでいる可能性があると指摘するもので、今後、研究が進めば耐性菌問題の解決の糸口になるかもしれないという▼世界で初めて見つかった抗生物質は、ご存じペニシリン。カビから偶然発見され、たくさんの人の命を救った。土壌中の放線菌から見つかった抗生物質は産業革命で環境悪化が進む中、多くの労働者や市民の間で流行し、苦しめた結核を退治した▼動きが遅いからだろうか。ナマケモノの毛皮には昆虫や藻類、菌類、バクテリアなどの多種多様な生物が生息する。ここからしか見つかっていない種もあり、さながら小さな地球のように生態系が息づいている▼取るに足らないと見えるような所から人類の救世主が現れる。われわれは、ナマケモノの背中で抗生物質耐性との戦いに勝てるかもしれない。(立松聖久)

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